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アメリカの「老後のための基本の積立制度・IRA」

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老後の生活を支える資金をどのように確保するかは誰にとっても大問題です。日本人、アメリカ人、どこの国の人であっても気にしていなけければならないことですね。アメリカには「IRA」という基礎的な積立制度があることをご存じでしょうか?

IRAは「Individual Retirement Arrangements」の略で、日本語では「個人退職勘定」と略されます。401(k)と並び、リタイヤメントに向けて老後資金をつくるのに使われる積立制度です。IRAのメリットは、

・投資の利回りに課せられる税金が、資金を引き出す時まで待ってもらえること

です。これにより、運用益を税金によって減らすことなく再投資に回すことができます。再投資の効能については過去にMoney1でも記事にしたとおり、非常に重要なポイント。リタイヤするまでの時間で使える「投資のための原資をできるだけ増やす」という意味があります。

一方のデメリットは、

・59歳半になるまでその資金が引き出せないこと
・年間拠出限度額は5,500ドル
※年度中に50歳の誕生日を迎えるか、それ以上の年齢の人は1,000ドル追加でき、年間拠出限度額は6,500ドルにできます。

IRA制度を利用した方がリタイヤに備えた資金を増やしやすいので、多くの人がこれを利用します。利用するには自分でIRA口座を開き、そこに資金を拠出します。銀行、証券会社、保険会社、ミューチュアル・ファンドでは、IRAを用いた多種多様なプランを用意していますので、利用者はその中から自分に合ったものを選択できるのです。

IRAには、主に以下のような種類があります。

・Traditional IRA
資金の拠出は課税前の所得から行え、その分は控除となりますので、所得税がお得です。配当金・キャピタルゲインなど運用益に対する税金は、資金の引き出し時まで課税されません。59歳半までに資金を引き出す(その他条件に違反する場合も)とペナルティーが課せられます。

・Roth IRA
課税後の所得から資金を拠出します。ですので所得税控除はありません。その代わり、拠出金はいつでも引き出し可能です。配当金・キャピタルゲインなど運用益については、運用中は非課税。また59歳半以降に引き出すのであればこれも非課税です。課税後所得から資金を拠出することで無税で資金を運用できる点が魅力です。

ちなみに「Roth」は、このプランの実現を主導したデラウェア州の上院議員William Rothさんから取られたものです。

・Nondeductible Traditional IRA
所得税控除のない「Traditional IRA」です。高額所得者はRoth IRAを利用することができませんし(独身者は12万7,000ドル/夫婦合算では18万8,000ドルを超えると駄目)、Traditional IRAでも控除が受けられません。それでもIRAを使いたいという場合に利用される制度です。面白いのは、節税のために高額所得者が「Nondeductible Traditional IRA」の制度で積立を始め、非課税でお得な「Roth IRA」に転換(convert)するという裏技(back door)があることです。

・SEP IRA
SEPは「Simplified Employee Pension」の略。雇用主が労働者のために提供する、Traditional IRAに積立する制度です。年間に拠出できる資金の限度額が高いので(所得次第ですが最高5万4,000ドル:2017年)、労働者よりもむしろオーナー、自営業者が利用することが多いようです。

・SIMPLE IRA
SIMPLEは「Savings Incentive Match Plans for Employees」の略。雇用者が労働者のために提供するもので、401(k)に似た制度です。給料から天引きした資金を積立に使い、また企業もそれに資金を拠出できるマッチングの仕組みがあります。

IRAは、401(k)と共に老後の資金を確保するための基本的な仕組みです。日本との違いとして頭の片隅にでも入れておいてください。

(柏ケミカル@dcp)

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