11月17日に注目すべきニュースがありました。韓国銀行が「急上昇している韓国国債の利回りを安定させるために、大規模な韓国国債の買いオペを行った」というのです。
■国債の利回りが上昇するのはヤバイ!?
国債は資金を調達するために、その国の政府が発行する債券です。日本でもしばしば「国債を発行しすぎ」「国債による借金を何とかしなければ」なんて話がニュースになります。市場ではこの国債の利回りが問題になります。
市場では、国債の利回りはその国債の価値によって変動するのです。その国の先行きが不透明、また信用が「?」なんて場合には、利回りは上昇します。
なぜかといいますと、利回りが上がらないと誰も買ってくれないからです。
明日破綻するかもしれない国の政府が発行する国債なんか誰がほしいでしょうか!? 償還までの期日が1年・3年・5年・10年といった種類があるものですが、償還日をまたずに紙くずになるかもしれない国債を買う人はいませんね。
ですから、国債の利回りが急に上がるというのは、とりもなおさずその国の経済について市場が「?」と感じていることを意味しているのです。韓国国債の利回りの急上昇は、市場が韓国経済に厳しい見方をしていることの表れです。
上のグラフは、実際に韓国国債10年ものの利回りがどのように推移しているかを表したものです。確かに急上昇しています。
これよりさらに前にはどのようであったのかを示すのがこのグラフです。過去には韓国国債10年ものは、7.330%という高い利回りを記録したことがあり、これは2002年1月3日のことです。
今回の韓国銀行によるオペは、2008年の金融危機以来とのことですが、上記のとおり2008年には現在の水準よりもはるかに利回りは高かったことが分かります。今回のオペは「利回りを安定させ、市中金利の上昇を防ぐため」と報道されていますが、狙いはともかく問題はその本質です。
今回のオペには、
●政府が国債によって資金を調達したい
↓
●しかし、誰も国債を買ってくれない
↓
●仕方がないので中央銀行が買う
という背景があり、つまり「韓国国債を購入できるだけの資金が民間金融機関にないのでは?」とも考えられる点が問題なのです。
例えば、日本国債の場合には、入札によって民間銀行などの金融機関(証券会社等もあります)が購入します。そこから個人や投資家の皆さんに販売されるようになっています。私たちが国債を購入する際には、銀行や証券会社を通じて買いますが、それは国債を使って政府が民間金融機関から(ひいては国民から)お金を借りるという仕組みでもあるのです。
とどのつまり、このニュースを聞いた人は「韓国経済は大丈夫なの?」と思わないといけません。もっとも、「世界各国の中央銀行の中で唯一赤字」というヘンな銀行が韓国銀行なのですが。この韓国銀行のヘンな点については、また改めてご紹介いたしましょう。
(高橋モータース@dcp)