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中国の鉄鋼輸出はイナゴの群れ。国内需要は8億トンしかないのに10億トンも生産している!

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世界的に中国の過剰生産性が問題視されています。

中国企業は政府の補助金を利用して過剰生産性を発揮(企業が赤字でも全然構わないし存続できる:国産企業ならなおさら)、市場をレッドオーシャンに変え、その安値ダンピング製品を海外に輸出します。

このようなイナゴの群れが自国市場に襲ってくるので、各国は中国製品を締め出すバリアを張らなくてはなりません。バリアとなるのが追加関税、重い関税の賦課なわけです。

アメリカ合衆国はじめカナダ、EU諸国、またブラジルでも中国産製品について関税率をアップする施策を打ち出しています。中国産の製品で特に槍玉に上がるのは「鉄鋼製品」です。

過剰生産性をフルに発揮する中国鉄鋼業

2024年10月25日、『中国鉄鋼工業協会』(China Iron and Steel Association:略称「CISA」)が記者会見を開催。

身から出た錆なのですが、中国の鉄鋼企業は傾いており、どこも飛びそう――というのが本当のところです。しかし、この記者会見において、

「中国は世界最大の鉄鋼市場であり、年間消費量は8億トンを超えます。製造業が産業成長の主要な推進力として台頭しており、同時に産業構造の改善も進んでいる」

と述べました。

つまり、鉄鋼業において中国企業の業績は危険な状態ではあるものの、中国には年間消費量8億トンの市場があって「大丈夫だあ」としたわけです。

しかし、頼みの綱の不動産市場は回復していませんし、電気自動車も過剰生産で在庫がだぶつき、中国の鉄鋼需要が業績を回復させるほどあるのか、大いに疑問です。

実際――、

2024年01~09月累計
中国内の粗鋼消費量:-6.2%
(対前年同期比の増減)

――消費量は減っています。特に第3四半期の最後の2カ月は――、

中国内の粗鋼消費量
08月:-13.5%
09月:-11.1%
(対前年同期比の増減)

――と大幅な減少を記録しており、どこが大丈夫なんだと思わされます。

国内需要は大幅減少、輸出は21.2%も増加している!

ところが、鉄鋼製品の輸出量は大幅に増加しています。以下が直近の推移です。

データ出典:中国海関総署、中国国家統計局
↑2024年は第3四半期までの累計。2023年は過去最大の輸出量「9,450万トン」を記録。

2024年は第3四半期までで「8,071万トン」。これは対前年同期比「+21.2%」という無茶苦茶な伸びです。

単純計算しても通年では「1億761万トン」に達してしまい、鉄鋼製品輸出量は過去最大となります。

これだけ中国産の安価な鉄鋼がイナゴのように外国市場に向けて輸出されているのです。各国からすればたまったものではありません。

中国の粗鋼生産量は10億トンに達する!

では、中国内の生産量はどのくらいあるのかというと、『World Steel Association』の集計によれば――、

――上掲のとおり、中国の粗鋼生産量は2023年時点で「10億1,908万トン」です。

考えてみてください。

中国の国内では消費量が8億トンしかありません(消費量が減少した2024年時点ですが)。

ところが、生産量は約10億トンもあるのです。

これが中国の鉄鋼における過剰生産性であり、過当な価格価格になり、中国の国内鉄鋼市場がレッドオーシャンになる理由に他なりません。鉄鋼産業の企業が飛びそうになるのも当たり前です。

また、この異常な過剰生産性が外国に振り向けられているのです。

世界各国は中国産のイナゴを叩き潰す必要があるのです。そうしなければ、自国市場も食い荒らされ、自国企業が飛ぶかもしれません。

(吉田ハンチング@dcp)

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