韓国を代表する企業『サムスン電子』にはこれまで労働組合がありませんでした。
もちろん意図的に作らせなかったのです。『サムスン電子』はそのおかげで他社のように労使紛争も起こらずに済みました。もちろん全く存在しなかったわけではなく、小規模な労働組合はありました、
ところが、2019年11月13日、『サムスン電子』に『サムスン電子労働組合』が誕生します(雇用労働部が許可を出した日付です)。
『サムスン電子労働組合』は『韓国労働組合総連盟』(韓国労総)の傘下であり、これまでの「無労組」状態といってもいい状態とは全く異なる労働組合でした。
以降、『サムスン電子』も本格的な労使交渉が行われるようになります。2021年には直近10年で最高の年平均賃金を「7.5%」上げることが決定されました。
――で、2022年04月29日、『サムスン電子』の労使協議会は、年平均賃金を「9%」引き上げることに合意したと発表しました。
労使協議は通常02月から始めて03月内に終わるのですが、約1カ月余計に時間がかかった上に交渉が11回にも及んだ末にやっと出された結論です。
韓国メディアの報道によれば、経営側は「4%のアップ」を提示したのに対して、労組側は「15%のアップ」を主張。
両者に開きがあり過ぎて調整に時間がかかったとされています。また、労働組合は04月13日から『サムスン電子』総帥である李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の自宅前でデモを展開。25日からはテントを張って座り込みを行っていました。
昨年からさらに「1.5%」も引き上げ幅が上がりました。これまでいくら無労組経営だったからとはいえ、また『サムスン電子』の業績が過去最高を更新しているとはいえ、異常な上昇速度といえます。
今回の結果を受けて、大卒新入社員の年俸も5,150万ウォン(約515万円)に引き上げられ、有給休暇が3日増えるとのこと。また、配偶者出産休暇をこれまでの10日から15日に拡大しました。
『サムスン電子』は労働組合に足を取られ出した――とするのは見方が偏りすぎでしょうか。
Money1では何度かご紹介していますが、『サムスン電子』は韓国を離れてアメリカ合衆国の企業になった方が浮かばれるのではないでしょうか。恐らく半導体部門なら合衆国も諸手を挙げて歓迎することでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)