【総まとめ】韓国「李在明に有罪判決」何が争点だったか? なぜ有罪になったか? 李在明と『共に民主党』どうなるか?

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2024年11月15日、韓国ソウル中央地方裁判所34部は、韓国最大野党『共に民主党』の党首、李在明(イ・ジェミョン)さんに有罪判決を下しました。


↑ソウル中央地方裁判所が第一審の舞台となりました。

検察側が求刑したのは2年だったのですが、「懲役1年、執行猶予2年」としました。

李在明(イ・ジェミョン)さんは次期大統領の呼び声も高い人ですが、そのような人物に対する判決にしては重いものです。

しかし、Money1でもご紹介してきたとおり、この人はウソばっかり言ってきたので仕方ありません。特に大統領選挙中に、自分に有利になるよう、ウソを重ねたのです。

具体的には、以下の2点です。

争点その1.「そんな人物は知らない」と言った!

●「その人物を知らない」と言った
2021年12月22日、李代表が放送局のインタビューで大庄洞開発事業の実務者であったキム・ムンギ城南都市開発公社開発1処長について、

市長在職時は知らなかった。下位の職員だったので
実際に下位の職員で、記憶に残っていない

といった発言をしたことです。キム元処長は「大庄洞開発事業」の核心関係者とされ、このインタビューはキムさんが突然自死した翌日に行われました。

この事件はまた別の疑惑として追求されています。

Money1でもご紹介したとおり、本件については「明らかにウソ」です。――というのは、李在明(イ・ジェミョン)さんがキム・ムンギさんを知らなかったわけがない――という証拠がハッキリ出てきたからです。

以下の写真などがそうです。


↑キム・ムンギさんの遺族が公開した「オーストラリア・ニュージーランド出張」時の写真。奥左端がキム・ムンギさん。手前右端が李在明(イ・ジェミョン)さん。

このような証拠が出てきたのに対して、李在明(イ・ジェミョン)さんは「人を知っている」というのは主観的な認識の領域であって、事実ではなく、発言そのものが選挙法上の処罰対象となる「行為」には該当しない――と主張しました。

写真が出てきたのでもう言い逃れができないと判断したのでしょう、呆れることに李在明(イ・ジェミョン)さんは「私は人の顔が覚えられない病気です」とまで言ってのけたのです(第10回目の公判時)。

この李在明(イ・ジェミョン)さんの発言は「相貌失認(失顔症)」のことを言っているのだと思われますが、確かにこのような精神疾患(mental disorder)はあって、人の顔が覚えられない、分からないという症状」を引き起こします。

しかし、この人の場合には「相貌失認(失顔症)」というよりは、むしろ「虚言癖」というべきでしょう。

争点その2.「国土交通部から圧力を受けた」と言った!


↑裁判所前で李在明(イ・ジェミョン)サポーターが「無罪」を叫びましたが……。

もう一つの問題発言は、李在明(イ・ジェミョン)さんが京畿道知事の任期の終わり頃、2021年に国会国土交通委員会の京畿道国政監査で行った発言です。

李在明(イ・ジェミョン)さんは、城南市柏峴洞(ペクヒョンドン)の韓国食品研究院用地の用途変更特恵疑惑に関連し、

国土部が用途変更を要求し、こちらとしては応じざるを得なかった
国土部が職務怠慢を問題視すると脅迫した

と述べました。

そもそも本件は、開発事業者のために、城南市の柏峴洞にある土地を開発しやすいように「用途変更した」というのが本線。

李在明(イ・ジェミョン)さんが「事業者が開発を行いやすいように」市長の権限で「恣意的に用途変更を行ったのだ」という疑惑です。

疑惑が呈されたのに対して、李在明(イ・ジェミョン)さんは、上掲の発言を行って、「自分が便宜を図ったのではなく、国土交通部の圧力があったのでやむなく行った」――としたのですが、国土交通部の資料によって、「圧力をかけた」などという事実はないことが確認されました。

この疑惑に絡んでウソと言いましたよね――というのが今回の裁判の争点の一つだったのです。

有罪の根拠となったのは公職選挙法の250条第一項


↑裁判所前に駆けつけた李在明(イ・ジェミョン)サポーターの皆さん。

被選挙者が選挙期間中に自分が有利になるようなウソを流布することは法律違反です。公職選挙法違反に当たります。

韓国の公職選挙法には「虚偽事実公表罪」が以下のように規定されています(面倒くさいでしょうから飛ばしても大丈夫です)。

第250条(虚偽事実公表罪)

当選または当選を得させる目的で、演説・放送・新聞・通信・雑誌・掲示物・宣伝文書その他の方法により候補者(候補者になろうとする者を含む。以下この条で同じ)のために、候補者やその配偶者、直系尊属・卑属または兄弟姉妹の出生地・家族関係・身分・職業・経歴・財産・行為・所属団体、特定の人物や団体からの支持の有無に関して、虚偽の事実(学歴については第64条第1項の規定に沿わない方法で掲載した場合を含む)を公表した者、または虚偽の事実を公表させた者、および虚偽の事実を記載した宣伝文書を配布する目的で所持した者は、5年以下の懲役または3,000万ウォン以下の罰金に処する。<改正 1995. 12. 30., 1997. 1. 13., 1997. 11. 14., 1998. 4. 30., 2000. 2. 16., 2004. 3. 12., 2010. 1. 25., 2015. 12. 24.>

当選を妨げる目的で、演説・放送・新聞・通信・雑誌・掲示物・宣伝文書その他の方法により、候補者やその配偶者、直系尊属・卑属または兄弟姉妹に関して虚偽の事実を公表した者、または公表させた者、および虚偽の事実を記載した宣伝文書を配布する目的で所持した者は、7年以下の懲役または500万ウォン以上3,000万ウォン以下の罰金に処する。<改正 1997. 1. 13.>

党内予備選挙に関連し、第1項(第64条第1項に規定された方法で学歴を記載していない場合を除く)の行為を行った者は、3年以下の懲役または600万ウォン以下の罰金、また第2項の行為を行った者は5年以下の懲役または1,000万ウォン以下の罰金に処する。この場合、「候補者」または「候補者(候補者になろうとする者を含む)」は「予備選候補者」とみなす。<新設 2005. 8. 4.>

第82条の8第2項に違反し、中央選挙管理委員会規則で定める事項をディープフェイク映像等に表示せず第1項に規定された行為を行った者は、5年以下の懲役または5,000万ウォン以下の罰金、第2項に規定された行為を行った者は7年以下の懲役または1,000万ウォン以上5,000万ウォン以下の罰金に処する。<新設 2023. 12. 28.>

李在明(イ・ジェミョン)さんは、大統領選挙の候補時に、自身の当選のために、自身の行為についてウソの話をした――と認定されたので、公職選挙法250条の第一項違反で――「有罪!」となったのです。

これから李在明(イ・ジェミョン)さんはどうなる? 実は『共に民主党』も解党の危機

ウソ言いましたね、あなた」で有罪になった李在明(イ・ジェミョン)さんですが、判決を不服として控訴します。

そのため第二審、第三審へと進むことになります。

第二審で李在明(イ・ジェミョン)さんが無罪判決を受けたとしても、検察が控訴するので、大法院(最高裁判所に相当)まで行くのは間違いありません。

大法院判断で有罪になり、仮にこの第一審の量刑が確定すると、李在明(イ・ジェミョン)さんは被選挙権がなくなります(5年間の喪失現段階)。

つまり、次期大統領選挙には立候補できません。

また、『共に民主党』にも大打撃となります。巨額の選挙費用を返還させられる可能性があるのです。

政党の統一候補が大統領選挙に出た場合、有効票の15%以上を得票すれば、選挙費用は保全されます。

『共に民主党』は先の大統領選挙で「供託金:3億ウォン」「選挙費用:431億7,000万ウォン」を使いました。

合わせて「434億7,000万ウォン」。ざっくり1/10で、日本円にして43億円です。

大統領選挙では、『国民の力』の統一候補となった尹錫悦(ユン・ソギョル)さんと大接戦で、得票率約47.8%でしたから、この43億円は保全されました。

ところが、その候補が公職選挙法に違反して有罪となり、「100万ウォン以上の罰金」という判決が確定すると、選挙管理委員会は保全した選挙費用を「すっかり返還せよ」と命じることができるのです。

これは、その候補が落選しても同じです。

なぜこんな決まりがあるかというと――当選が全くおぼつかない泡沫候補の乱立を防ぐため、同時に選挙費用の多寡による不公平さを是正するため、さらには選挙違反をさせないためです。

――というわけで今回の判決は、李在明(イ・ジェミョン)さんと『共に民主党』の両方に衝撃を与えるものなのです。

裁判に時間が掛かり過ぎ!

今回の裁判は、2022年09月08日に検察が起訴することによって始まりました。

判決が出たのが2024年11月15日ですから、2年以上掛かっています。この調子で裁判を進行するなら、李在明(イ・ジェミョン)さんは最終判決が出るまでに大統領になりおおせるかもしれません。

そのため、保守寄りの『国民の力』、また尹政権からすれば、裁判をさっさと進行させて有罪判決を得て、李在明(イ・ジェミョン)さんから被選挙権を剥奪し(できれば監獄にも送り)、『共に民主党』を「返金不可」から解党に追い込む――のがベストな道筋になります。

それが分かっているから、左派・進歩系のアンポンタン勢力は、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を朴槿恵(パク・クネ)さんと同じように引きずり倒して、さっさと大統領選挙を行いたいのです。

逆に『国民の力』側からすれば、司法にできる限りの圧力を掛けてさっさと裁判を進行させ、李在明(イ・ジェミョン)と『共に民主党』を叩き潰してしまわなければなりません。

時間との戦い」です。

Money1でもご紹介したとおり、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は成立直後から総力を挙げてこれに取り掛かるべきだったのです。

ちなみに、李在明(イ・ジェミョン)は4つの裁判を抱えており、今回第一審の判決が出たのは、そのうちの1つ。

別の裁判(偽証教唆の疑い)の判決が2024年11月25日に出ます。ご注目ください。

(吉田ハンチング@dcp)

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