韓国「外貨準備を貸し出してるのでドルがありません」にならないか。通貨危機時は流用していた

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2023年04月13日、『韓国銀行』と韓国企画財政部が国民年金公団との350億ドル規模の為替スワップを締結したと発表されました。

『韓国銀行』のプレスリリースにあるとおり、これは国民年金基金がドルに換えて投資をする際の「ウォン売りドル買い」を小さくするためのもので、ウォン安進行を阻む意図があります。

上掲のとおり、韓国の外為当局(すなわち『韓国銀行』と企画財政部)がドルを国民年金公団に提供し、国民年金公団はそれと等価のウォンを外為当局に渡します。

これがスワップで、期間が来たらスワップバックするわけです。

スワップバックでは、国民年金公団はドルを外為当局に、外為当局はウォンを国民年金公団に戻します。

スワップの原資ですが、外為当局とは『韓国銀行』と企画財政部ですので、外貨準備高を使うわけです。

外貨準備高というのは、資産の側しか見ていません。そのため、借金しても(負債を増やしても)外貨準備高は増えます。

『韓国銀行』のプレスリリースに「銀行の外貨預金が増えたので外貨準備高が増えました」などと書いてあるのは、そのためです

『韓国銀行』からすると銀行が『韓国銀行』に行う外貨預金は「負債」ですが、その分資産側に現金が増加するので、外貨準備高も増える。


↑データ出典・引用元は『韓国銀行』の公表

上掲のとおり、『韓国銀行』の公表によれば、Deposits(預金)は2023年03月時点で241億ドルしかないので、そもそも350億ドル規模というのは無理ですが、足りない場合は保有するSecurities(証券類)を現金に換えるものと推測されます。

問題は、このスワップを会計上どう処理するのかです。

というのは、国民年金公団にドルを貸すことになりますから、その分の(等価の)ウォンを受け取ったとしても、それは「外貨」ではないので、普通に考えれば外貨準備高から引かねばなりません。

しかし、韓国の外貨準備高は時価計算されていないことが分かっています。国民年金公団に貸し出したとしても「あるもの」として計上する可能性があるのではないでしょうか。

ここで思い出したいのは、1997年のアジア通貨危機時に韓国が外貨準備高を偽っていたことです。

当時『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)議長を務めた、アラン・グリーンスパンさんは後に以下のように著書に書いています。

(前略)
だが、われわれが知らない事実があって、すぐにあきらかになるのだが、韓国政府はこの外貨準備を流用していた。

保有するドルの大半を国内の銀行に売るか貸し出していて、銀行はこの資金を不良債権を支えるために使っていたのだ。

FRBの国際経済専門家、チャールズ・シーグマンが感謝祭の週末に韓国銀行の幹部に電話して、「なぜ外貨準備を使わないのだ」と質問したところ、「残っていないからだ」という答えが返ってきた。

公表されている外貨準備はすでに、使い道が決まっていたのである。
(後略)

⇒引用元:アラン・グリーンスパン『波乱の時代 -わが半生とFRB- 上』(日本経済出版社)pp.274-275
強調文字は引用者による

国民年金公団との為替スワップは、外貨準備の流用になるのではないでしょうか。このスワップ契約によって、韓国の外貨準備高がどのように推移するのかは見ものです。

いざというときに「国民年金公団に貸し出しているのでドルがありません」などとならないといいですね。

(柏ケミカル@dcp)

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