電気自動車は高いです。補助金が給付されて初めて「うーん……じゃあ、ちょっと考えてみるわ」というような値段設定になっています。
ですので、各国で「補助金の給付はやめます」となると「うーん……」が多くなって販売台数が減少することになります。
欧州は最も露骨で、例えばドイツ政府など財政が危なくなったとたんに前倒しで「やーめた」を宣言。地球温暖化に立ち向かう気概もどこへやら、いい加減なものです。
もっとも、「電気自動車が地球環境に優しい」なんて話はそもそもが詐欺みたいなものですので、一周回った感があります。
韓国でも新年度に入ると、補助金のルールが決まらない01月は電気自動車がさっぱり売れません。
補助金が出ないと売れないのだ
日本メディアでも報じたところがあったので、読者の中にもご存じの方がいらっしゃるかもしれませんが、韓国では2024年01月、輸入車部門で『Tesla(テスラ)」車は1台しか売れませんでした。
記事の中には、「やーい、テスラも韓国で売れなくなった」という揶揄のニュアンスで報じたところがありましたが、そうではありません。
01月にはまだ補助金のルールが決まっておらず、(ここで買うと補助金の給付が受けられず)高く買うことになるからです。
――で、電気自動車に対する補助金の制度を韓国の環境部が公表したのですが、「補助金を100%受けられるのは車両価格が5,500万ウォン以下の車種」としました(これまでは5,700万ウォン)。また、これに1回充電時の走行距離やバッテリー性能などで評価して補助金給付額が決まります。
最大に評価された場合、補助金の上限は650万ウォン。また、車両割引をメーカーが行うなら、その30%を追加補助金として給付する(上限50万ウォン)――となりました。
これを受けて、各メーカーは電気自動車の価格をさっと下げました。
「model Y」:5,499万ウォン~(↓200万ウォン)
『現代自動車』
「IONIQ5」:5,050万ウォン~(↓200万ウォン)
このような値下げで補助金に対応し、その上で『現代自動車』は、2024年02月23日、電気自動車の普及拡大のために車両購入の恩恵を強化すると明らかにしました。
例えば、「IONIQ5」の場合(購入するモデルによります)、
⇒車両価格割引:120万ウォン
⇒電気自動車充電クレジット:80万ウォン
⇒月別在庫割引:最大500万ウォン
●政府補助金:650万ウォン
●価格割引比例の追加補助金:40万ウォン
小計:1,390万ウォン
分もお得になる、としています。
これに自治体の補助金が乗ります。まだ全部の自治体で補助金が決まったわけではないのですが、すでに補助金の2024年版の制度を決めた済州島の場合には、「IONIQ5 Long range Exclusive 2WD 19inch model」を購入するなら「5,410万ウォン」が「約3,731万ウォン」になります。
約1,679万ウォン(約184万6,900円※)も価格が下がるのです。
※日本円への換算は、2024年02月23日のレート「1ウォン=0.11円」で行いました。
「ざまあ」とか書いてる場合ではない
ちなみに『現代自動車』は、アメリカ合衆国では「IRA」(インフレ削減法)によって、自社の車種がほとんど補助金の対象外となりましたので、畜生とばかりに割引キャンペーンに乗り出しました。
「IRA」で定められた補助金の最大給付額「7,500ドル」(正確には税額控除)をウチが出そうじゃないか――という太っ腹なものです。価格戦闘力は失わず、うまくいけば販売台数が減少しないかもしれませんが、これでは利益が減ります。
補助金が減少している中、価格を下げ、販売台数を維持するために無理なキャンペーンを行わねばならないわけですから、『現代自動車』にとっては厳しい事態ではないでしょうか。
韓国メディアは、
「2024年の規定では、『テスラ』の「model Y」は政府補助金は195万ウォンしか受けられない計算になる。昨年の514万ウォンから62.1%減った。『現代自動車』の「IONIQ5」は690万ウォンだ」
などと、「ざまあ」みたいに書いています。
いや、そもそも補助金が大きくないと困る商売というのは、いかがなものでしょう。この先も維持できるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)