米国「韓国企業の鉄鋼に相殺関税を課す!」理由は電気代が安いから

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アメリカ合衆国というのは厳しい国で「フェア」にこだわります。

市場では自由に戦うことができねばならず、その自由な戦いを行うための条件は「フェア」でなければならない――のです。

国営企業は国のものなので自由競争をしているとは認めませんし(WTOも同じ:しかし加盟している中国は国営企業を増やしまくっている)、国から補助金が出ている企業の製品はフェアではなく、不当に競争力がある――と非難します。

まあ、自分のところが負けそうになると「フェアにするためのルール」を変更にかかるので、合衆国のフェアなど信じられるものでは決してないのですが。

事は韓国の鉄鋼にいきます。

韓国の対米鉄鋼輸出は制限されている

読者の皆さまもご存じのように、前トランプ政権は通商拡大法232条を盾に取って外国製の鉄鋼・アルミニウムに追加関税を課しました。

合衆国は「関税を課されたくないなら数量割り当てを受付けろ」と迫ったのですが、EU、日本、イギリスはこれを拒否。ところが、韓国はいち早く受け入れて、無税を勝ち取ったと誇りました。

2015~2017年の輸入量(年平均383万トン)の70%という数量制限で、受け入れた代わりに韓国製鉄鋼は30%も輸出量が減ったのです。

ところが、もめた各国はバイデン政権になってから交渉を行い「一定数量までは追加関税を課さない」という譲歩を引き出しました。Money1でもご紹介したとおり、日米の鉄鋼についての共同声明が出されました(アルミニウムについては譲っていない)。

日本も譲歩を引き出したものですから、韓国は焦って文政権の末期から「韓国も再交渉させてくれ」と泣きついているのですが、合衆国はただただ門前払いを続けています。

ここまでが話の前振りです。

米国「電気代が安いのは補助金だ! 相殺関税を課す」

産業通商資源部によれば「鉄鋼問題」について、2023年02月末に合衆国商務省が「韓国政府は事実上の補助金を自国の鉄鋼産業に与えている」と指摘した――というのです。

なんのことかというと「産業用の電気代が不当に安い」件です。

Money1でも何度もご紹介しているとおり、韓国の電気代が安いのは『韓国電力公社』が赤字をかぶっているからです。確かにこれは補助金に見えなくありません。

合衆国商務省は「韓国の安い産業用電気料金が補助金の役割を果たしている」と指摘しています。

産業通商資源部は「合衆国商務省は02月末に『現代製鉄』の鋼板に0.5%の相殺関税を課さなければならないという予備判定結果を発表した」としました。

韓国の産業用電気代を他の国と比較してみると以下のようになります。

産業用電気代(1MWh当たり)
イギリス:187.9ドル
ドイツ:185.9ドル
日本:146.8ドル
フランス:136.0ドル
OECD平均:115.5ドル
韓国:95.6ドル
(2021年OECD・IEAに基づく)

(2021年のデータではありますが)韓国はイギリスやドイツのほぼ半分、日本と比較しても65.1%に過ぎません。

しかも『韓国電力公社』が赤字をかぶってこの価格を実現しているのです。公社がやっているのですから広い意味で政府が行っているのと同じです。

「政府が補助金を出しているのと同じ」と、合衆国から見えても仕方ありません。

これでまた、韓国政府は電気料金を上げざるを得ない理由が一つできたかもしれません。第一の理由は、電気料金を上げないと『韓国電力公社』の財務状況がひっ迫しているから――なのですが。

また、問題になった時期が悪いです。04月26日には米韓首脳会談が開催されます。会談でもめるのは韓国の望むところではないでしょう。

本件に対して、韓国政府がどう対応するのかにご注目ください。

(吉田ハンチング@dcp)

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