『韓国銀行』がアメリカ合衆国のFED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)と締結したスワップライン※1を利用して調達したドルは約200億ドルにもなりますが、これはすでに完済されています。
完済の確認は、FEDが公表するデータによって行ったわけですが、『韓国銀行』から2020年06月末時点の国際収支統計が公表されました。
先にご紹介したとおり、国際収支統計にはスワップラインを利用して調達したドルについても記録されています。フロントは『韓国銀行』ですので国際収支統計上は同行の負債と記録されるのです。
『韓国銀行』は06月25日から「84日満期」などの大物(例えば第1次調達は79億2,000万ドル)の返済を始めています。この返済も国際収支統計に計上されているはず。
返済を確認してみます。いわばダブルチェックです。
以下は、2020年08月06日に『韓国銀行』が公表した国際収支統計のエクセルシートの一部を抜き出したものです。
「金融収支(Financial account)」の中に「その他投資(Other investment)」という項目があります。その「負債の部(Liabilities)」の「現金・預金(Currency and deposits, Liabilities)」に記録されています。
⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト「Economic Statistics System:ECOS」
『韓国銀行』は04月中にドル流動性スワップを利用して、
第1次調達 79億2,000万ドル
第2次調達 41億4,000万ドル
第3次調達 20億1,500万ドル
第4次調達 21億1,900万ドル
第5次調達 12億6,400万ドル
小計:174億5,800万ドル
を調達しました。これが04月に計上されている「175億1,550万ドル」の中に入っています。
05月には、第6次調達の「13億2,900万ドル(05月08日決済で返済は07月)」が計上されています。
そして06月。第1次調達した元本「79億2,000万ドル」の返済を行いました。元本と利息合わせて「79億3,654万9,979ドル」の返済でしたが、これが記録された「-79億3,820万ドル」の中に入っているわけです。
「–」(マイナス)が付いているのは、「その分だけ資金が流出した」(負債が減少した)ことを意味しています。逆に「+」なのは「その分だけ資金が流入した」(負債が増加した)ことを意味しています。
――というわけで『韓国銀行』にとっては、04月、05月とこれまでにない巨額の現金負債が積み上がり、06月には返済が始まって約80億ドルも吐き出すという、イヤな月だったわけです。
07月の国際収支統計には第2~6次調達のドル返済が計上されます。07月はすんごい金額を吐き出した結果が見られます。楽しみですね。
※1韓国メディアは「通貨スワップ」、時に「通貨スワップ協定」と呼称しますが、紛らわしいのでMoney1ではFRB(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)に従って「スワップライン」「ドル流動性スワップ」と記載します。本稿のタイトルだけはアンカーが韓国の表記に合せて「通貨スワップ」としています。
(柏ケミカル@dcp)