2025年04月27日、中国の国家統計局が「2025年1—3月份全国规模以上工业企业利润增长0.8%」というプレスリリースを出しました。
まず以下をご覧ください。「営業利益が（対前年同期比で）0.8％増加」とタイトルにしていますので「一見良さげ」に見えるのですが……です。
面倒くさい方は全文和訳を飛ばしていただいても大丈夫です。
※このデータに集計されているのは、年間主営業収入（主营业务收入）が2,000万元（約4億円）以上の企業。登録済みであり、工業統計調査に組み込まれている法人単位。上場企業、国有企業、外資企業、私営企業など、所有形態を問わない。
2024年01～03月期、全国の一定規模以上の工業企業の利益総額は1兆5,093.6億元で、前年同期比0.8％の増加となった。
2024年1～3月期、一定規模以上の工業企業のうち：
国有控股企業（国有持株企業）の利益総額は5,599.5億元で、前年同期比1.4％減少。
株式会社制企業の利益総額は1兆1,101.5億元で、0.1％増加。
外商および香港・マカオ・台湾資本の企業は3,883.5億元で、2.8％増加。
民間企業は3,709.7億元で、0.3％減少した。2024年1～3月期、業種別の利益総額は以下のとおり：
鉱業は2,204.4億元で、前年同期比25.5％減少。
製造業は1兆826.4億元で、7.6％増加。
電力・熱供給・ガス・水の生産および供給業は2,062.8億元で、5.4％増加。2024年01～03月期の主な業種別の利益状況は次のとおり：
農産物・副食品加工業：40.3％増加
非鉄金属の精錬・圧延加工業：33.6％増加
専用設備製造業：14.2％増加
汎用設備製造業：9.5％増加
電気機械・器材製造業：7.5％増加
繊維業：7.1％増加
電力・熱供給業：6.1％増加
コンピュータ・通信・その他電子機器製造業：3.2％増加
化学原料および化学製品製造業：0.4％減少
石油・天然ガス採掘業：3.1％減少
自動車製造業：6.2％減少
非金属鉱物製品業：14.2％減少
石炭採掘・洗浄業：47.7％減少
石油・石炭・その他燃料加工業：前年同期比で赤字幅を縮小
黒色金属の精錬・圧延加工業：前年同期比で赤字から黒字へ転換2024年01～03月期、一定規模以上の工業企業の：
営業収入は32.14兆元で、前年比3.4％増加
営業コストは27.44兆元で、3.6％増加営業利益率は4.70％で、前年比0.12ポイント低下
2024年03月末時点で、一定規模以上の工業企業の：
総資産は180.37兆元で、前年比5.3％増加
負債総額は104.02兆元で、5.8％増加
所有者資本合計は76.35兆元で、4.6％増加負債比率（資産に対する負債の比率）は57.7％で、前年比0.3ポイント上昇
2024年3月末時点で、一定規模以上の工業企業の：
売掛金（受取債権）は25.59兆元で、前年比9.9％増加
完成品在庫は6.55兆元で、4.2％増加2024年1～3月期、一定規模以上の工業企業では、
100元の営業収入に対するコストは85.37元で、前年比0.17元増加
100元の営業収入に対する費用は8.43元で、前年比0.16元減少2024年3月末時点で、一定規模以上の工業企業の：
100元の資産あたりの営業収入は71.7元で、前年比1.2元減少
従業員1人あたりの営業収入は176.4万元で、5.6万元増加完成品在庫の平均回転日数は21.2日で、前年比0.1日増加
売掛金の平均回収期間は70.9日で、前年比4.0日増加2024年3月単月の一定規模以上の工業企業の利益は、前年同月比で2.6％増加した。
ご注目いただきたいのは、以下のグラフです。
企業タイプ別に見た、売上高と営業利益の「対前年同期比の増減」です。
外資および香港・マカオ・台湾投資企業は「売上高：+1.6％」「営業利益：+2.8％」なので良いとしても、
国有企業
売上高：-0.2％
営業利益：-1.4％
で減収減益。
株式会社は「営業利益：+0.1％」と「売上高：+3.8％」の増加に利益がついていっておらず、私営企業は「営業利益：-0.3％」。「売上高：+3.5％」なのに、利益が減少しています。
アメリカ合衆国との貿易戦争が激化して、高関税の掛け合いになった04月前の時点であるにもかかわらず、業績は微妙という他ありません。
すでに03月の時点で、中国の皆さんの「肌感」の景気はどん底という他なかったわけですから、この数字ですら盛られている可能性は大です。
しかるのに微妙な業績。中国の先行きは非常に危ないのです。
（吉田ハンチング＠ｄｃｐ）
