2022年11月15日、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領と中国の習近平総書記の中韓首脳会談が行われました。
以下が韓国の外交部が出したプレスリリースです。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、今回のG20首脳会議出席契機に11月15日(火)(現地時間)習近平中国国家主席と就任後最初の対面首脳会談を持ち、中韓関係発展方向、朝鮮半島問題、域内・グローバル情勢など相互興味について議論しました。
両首脳は、韓中両国の交流と協力が1992年の修交以来飛躍的に成長してきたことを評価し、修交30周年を迎え、両国関係を相互尊重と好恵、共同利益に基づいてさらに成熟に発展させていくことに立場を共にしました。
特に、尹大統領は普遍的価値と規範に基づいて国際社会の自由・平和・繁栄を追求することが韓国政府の外交目標だとし、東アジアと国際社会の自由・平和・繁栄を促進する上で中国の役割が極めて大切なだけに、中韓両国が緊密にコミュニケーションして協力していこうとしました。
パンデミックとグローバル景気低迷、気候変動などの複合的挑戦を共に克服するため、中韓両国間の高位級対話を定例的に活発に推進していこうとしました。
また、両首脳は、中韓FTA第2段階交渉を早急に仕上げようという意見を共にした。
習近平主席は高位級対話の活性化に共感を表し、中韓両国間の1.5トラック対話体制も構築しようと提案しながら、両国間のコミュニケーションを拡大し、政治的信頼を築いていこうとしました。
また、尹大統領は民間交流、特に若い世代間交流を拡大し、お互いの歴史と文化を深く理解することが重要だとし、習近平主席も韓中国民間の人的・文化交流に開放的姿勢を持っているとし、さまざまな分野で交流とコミュニケーションが行われるように努力しようとしました。
尹大統領は最近、北朝鮮が前例のない頻度で挑発を続け、核・ミサイルの脅威を高めていると指摘し、安保理常任理事国であり、隣接国として中国がさらに積極的で建設的な役割を果たしてくれることを期待すると述べました。
習主席は中韓両国が朝鮮半島問題に共同利益を持つとし、平和を守護しなければならず、韓国が南北関係を積極的に改善していくことを希望すると言いました。
習主席は、私たちの大胆な構想に対して北朝鮮の意向がカギだとし、北朝鮮が呼応してきたら、大胆な構想がうまく履行されるように積極的に支持し協力するだろうと述べました。
習主席は、これまでコロナパンデミックで韓国を訪問できなかったが、コロナ状況がある程度安定すれば尹大統領の訪韓招待に喜んで応えるだろうとし、相互に都合のいい時期に尹大統領が中国を訪問してくれることを希望しました。
⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「韓中首脳会談の結果」
尹大統領は「普遍的価値と規範に基づいて国際社会の自由・平和・繁栄を追求することが韓国政府の外交目標」と述べていますが、その「普遍的価値と規範」がないのが中国です。
どこまで通用するものでしょうか。
習近平総書記は「中韓両国が朝鮮半島問題に共同利益を持つとし、「韓国が南北関係を積極的に改善していくことを希望する」と言っていますが、まるで他人事のようにも聞こえます。
一方の中国外交部は以下のようなプレスリリースを出しています。
習近平国家主席は、現地時間2022年11月15日午後、バリ島で韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領と会談した。
習近平は、中国と韓国は密接な隣国であり、切っても切れないパートナーであり、地域の平和維持と世界の繁栄のために重要な責任を負っており、幅広い利害が交差していると指摘した。
今年は中国と韓国の外交関係樹立30周年であり、30年の歴史は中国・韓国関係の健全で安定した発展が両国民の根本的な利益になることを示している。
中国は韓国側と協力して、中韓関係を維持、強化、発展させ、地域と世界にさらなる安定をもたらすことを望んでいる。
習近平は、双方は戦略的なコミュニケーションを強化し、政治的な相互信頼を高めるべきだと強調した。
「中国と韓国は経済の補完性が高く、両国の共通の発展と繁栄を実現するために、開発戦略のすり合わせを推進すべきである。
二国間自由貿易協定の交渉を加速し、ハイテク製造、ビッグデータ、グリーン経済での協力を深め、国際自由貿易体制を共同で守り、グローバル産業チェーンのサプライチェーンの安全、安定、円滑な流れを保証し、経済協力の政治化・汎安全化に反対するべきだ。
中国は韓国と人文交流と協力を行い、G20などでの意思疎通と協調を強化し、真の多国間主義を共同で実践し、地域の平和と安定の全般的状況を維持することを望んでいる」と述べた。
尹錫悦(ユン・ソギョル)氏は、中韓国交30周年の今年を契機に、相互尊重と成熟に基づく中国との関係を発展させ、両国の共通利益につなげたいと述べた。
「韓国は、中国とあらゆるレベルで連絡を取り合い、人文交流を強化し、両国間の友好を深め、自由貿易体制を守り、世界的な課題に協力して取り組むことを希望している」と述べた。
丁薛祥、王毅、何立峰らが会議に出席した。
⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「习近平会见韩国总统尹锡悦」
中国のプレスリリースでは、習近平総書記は「中国と韓国は密接な隣国であり、切っても切れないパートナーであり、地域の平和維持と世界の繁栄のために重要な責任を負っており、幅広い利害が交差している」と述べたことになっています。
合衆国が半導体関連で今までに以上に締め付けているので、習近平総書記は「ハイテク製造、ビッグデータ、グリーン経済での協力を深め、国際自由貿易体制を共同で守ろう」などと呼びかけています。
韓国を利用する気満々です。
また「グローバル産業チェーンのサプライチェーンの安全、安定、円滑な流れを保証し、経済協力の政治化・汎安全化に反対するべきだ」は、完全に合衆国への嫌味です。
中国は韓国を弱い環と見ており、韓国が合衆国側に行くのを阻止しようとしています。
前文在寅大統領なら、これで舞い上がって盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領みたいに「バランサー外交の勝利」などと言い出したでしょうが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領がそうならないことを祈ります。
中国が行っているのは「時間稼ぎ」であり、韓国を利用した自由主義陣営国への揺さぶりです。
注目したいのは、同席者です。
王毅さんは毎度おなじみ外相ですが、丁薛祥さんは、中国共産党第二十回全国代表大会で中国共産党中央政治局常務委員会委員に選ばれた、新指導部のNo.6。つまり、新チャイナセブンのメンバーです。
何立峰さんは習近平さんの「側近中の側近」などと書かれる人です。
(吉田ハンチング@dcp)