中国の家電産業が「人民元高」で危機的状況になっている件をご紹介しましたが、触れ損なった「原材料高騰」についてご紹介します。正確には家電産業は「人民元高」「原材料高騰」に二重苦で大変な目に合って遭っているからです。
まず、中国の家電産産業は今回のコロナ禍によって恩恵を受けています。というのは、世界的に非対面、リモート勤務が推奨され人々が自宅にこもるというライフスタイルになり、家電の需要が大きくなったためです。
ところが! 家電の製造に用いる銅、アルミなどの原材料が高騰しているのです。『阿波罗新闻』の記事から引用すると以下のような状況です。
(前略)
家電業界は一般的に銅、アルミ、スチール、プラスチックなどの原料の需要が高く、原料費が総コストの7~8割を占めることが多い。『珠海格力电器股份』(グリー・エレクトリック:中国の大手家電メーカー)の2019年版アニュアルレポートでは、その年の同社の営業コストに占める原料費の割合が86.66%にも上ることが開示されています。
中国の家電メーカーは輸出が中心だが、コストの上昇は一面から、人民元の為替レートの上昇は別の側面から家電メーカーを直撃している。
(後略)⇒参照・引用元:『阿波罗新闻』「人民元が急上昇し、中国の家電会社は『無力』」
原材料がコストの「86.6%」を占めるという驚愕の記述があります。これが正しいのであれば「どれだけ安く作っているんだよ」という話です。
このコストの87%を占める部分が高騰しているのです。例えば、
上海アルミニウム指数:9.3%上昇
上海銅指数:13.4%上昇
という具合です。
その上、先にご紹介したとおり「人民元高」によって、何もしないのに売上がざっくり10%減るのです。経営が困難になって当然です。
中国は内需(消費)の弱い国であるという点も問題です。さて中国の家電産業は持つのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)