中国から「悲鳴」のような報道が出ました。まず、以下のドル人民元の日足チャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用)。「日足」ですのでローソク足1本が1日の値動きを示します。
人民元は7カ月で約10%上昇した!
「なんだこりゃ(笑)」という、きれいなチャネルラインが引けそうな「人民元高」が進行しています。これによって中国の輸出産業が「輸出しても赤字」という事態に陥り、悲鳴が上がっているのです。
2021年01月08日:「1ドル=6.4566元」
※終値
ですので、人民元の対ドル価値は7カ月余りで「9.6%」上昇したのです。単純な話ですが、例えば「100ドル」の製品を輸出したとして、
2020年05月27日:714.58元
2021年01月08日:645.66元
ですから、何もしていないのに売上が「68.92元」も減るのです。先に韓国の輸出産業が「ウォン高」のために大変だ!という件をご紹介しましたが、全く同じ話です。上掲のようにきれいな右肩下がりの下落一直線ですので、さすがに中国の輸出産業から悲鳴が上がっているというわけです。
悲鳴を上げる中国「家電産業」!
『阿波罗新闻』に中国の家電産業が悲鳴を上げているという記事が上がっています。これが非常に興味深い内容ですので一部を引用してご紹介します。
木曜日(1月7日)、人民元は「1ドル=6.4567元」と31カ月ぶりの高値で取引を終えた。
中国の家電メーカーは、人民元の為替レートの上昇と原材料費の高騰が利益を圧迫するだけでなく、赤字になって「無駄な仕事」に終わることを懸念しており、中には人民元高を相殺できずに倒産に直面する企業も出てくるかもしれないという。
⇒参照・引用元:『阿波罗新闻』「人民元が急上昇し、中国の家電会社は『無力』」
ここまでが大前提です。上記では人民元高についてだけ触れましたが、原材料の高騰も企業を揺さぶっています。で、次が面白いのです。
(中略)
主に小型家電、『广州家博士电器』の対外ビジネスリーダー徐莉さんは、2020年同社の全体的な外国からの受注は小規模ながら成長したが、コストの上昇と為替レートの上昇による「二重の圧迫」でバックオオーダーは損失を被っている、と述べた。
掃除機などを生産している浙江省『寧波中傑家電製造』の営業部長、リサ・イェさんは、受注が増えたことは良いことではなく、むしろ利益が出ない、あるいはほとんど出ない状態で、数カ月後には赤字になるなど、同社を窮地に追い込んでいると言う。
というわけで中国の家電産業は大変な事態に陥っています。アメリカ合衆国がバイデン政権になってもお金じゃぶじゃぶ状態を変える気がなさそうですので、ドル安はまだ続くのでは?と見られます。中国の家電産業はどこまで耐えられるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)