世界的なエネルギー不足が叫ばれるようになっています。その中心部ともいえる中国では、石炭不足・電力不足・停電の頻発という事態となっています。
中国が電力不足になるのは、まず火力発電が72%を占めるその電力供給構造に原因があります。また、この7割の火力発電のうち58%が石炭火力発電所です。
「72% × 58% = 41.8%」で、電力生産の「約42%」を石炭火力発電所が担っています。石炭火力発電所が止まれば電気不足になるのはそのためです。
ただし、この石炭火力発電所が止まる理由が問題です。
石炭価格の高騰で動かせば動かすほど赤字になるので、意図的に止めているのはないか?という疑惑があるわけです。
もしそうなら、これは中国の電気代が経済的な合理性がなく安く設定されている――ためでもあるのです。
というわけで、中国の当局が動きました。電気代を上げる算段です。
2021年10月12日、「国家発展改革委員会」は石炭火力発電グリッドの電気料金の自由化を発表しました(以下がそのプレスリリース)。
⇒参照・引用元:『国家発展改革委員会』公式サイト
取り引き価格の変動範囲の上限を20%アップし、電力を多く消費する業種には電気料金の上限を撤廃すると発表しました。
過去15年間、中国では固定電気料金制を敷いてきました。商業用電気の消費者(要は工場など企業)の56%は、産業用電力を中国の公営電力会社から固定価格で購入できました(残り44%は北京・広州などの電力市場で取引)。
しかし、今回の「国家発展改革委員会」の公示はこれまでの制度をひっくり返すものです。
簡単にいえば、経済的合理性のない電力販売(赤字)に耐えかねての電気代の値上げです。
電気代が上がって、火力発電所が黒字で回るようになったら停電も収まるのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)