念のために冒頭でお断りしておきますが、筆者の意見ではありません。韓国メディアがそのように報じています――という件です。
2022年03月18日、韓国の企画財政部から「2022年3月最近の経済動向」が公表されました。これは企画財政部が直近の韓国経済の情勢をまとめたものです(以下はプレスリリースのアタマの部分)。
⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「2022年3月最近の経済動向」
このリポートについて韓国メディアから自虐的な声が上がっています。
以下に記事の一部を引用します。
政府の経済分析報告書であるグリーンブックから「経済回復」という言葉が消えた。
コロナ19拡散で内需回復が遅れた状況で、ロシアのウクライナ侵攻による対外不安まで加重され、経済を眺める視点が徐々に悲観的に変わる様相を呈している。
企画財政部が18日に出した「3月最近の経済動向」で「最近、雇用増加の拡大が続き、輸出も堅調な改善の勢いを継続しているが、変異ウイルスの拡散などによる内需回復制約が懸念される」と明らかにした。
続いて「対外的にはアメリカ合衆国連邦準備制度(Fed・連銀)の金利引き上げなど主要国の通貨政策転換とウクライナ事態の影響でサプライチェーンの支障、インフレ懸念などが深化し、原材料・金融市場の変動性がより増加するなど不確実性が持続拡大されている」と指摘した。
(後略)
Money1でもご紹介してきたとおり、韓国経済は楽観視できる状況にはありません。
本当に「경제회복」(経済回復)という言葉で文書内にないのか、企画財政部が公表したPDFファイル(全80P)を検索してみましたが、本当に0件でした(上掲が検索結果)。
『ソウル経済』の記事では「経済を眺める視点が徐々に悲観的に変わる様相を呈している」と書いていますが、そこまで絶望的な状態とはなっていません。
状況はよくないとはいえ、少しは明るい話題もあります。
まず、原油価格が一時期よりは下落したこと(以下「WTI原油先物」/チャートは『楽天証券』より引用:日足)。
もう一つは、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんが新大統領に決まったことです。
尹さんの手腕で経済が好転するという話ではなく、少なくとも親米政権になりますから、何かあったときにアメリカ合衆国が支援してくれる可能性が(文在寅大統領よりは)高まりました。
また、日本にとってはうれしくありませんが、韓国経済に何かあったときに合衆国から「助けてやれ」と言われる可能性も高まりました。
合衆国の要求をどう裁くのか岸田政権の土性骨が試されるのではないでしょうか。
しかし、尹さんの親米政権ができた後、日本政府が韓国を支援する方向に動くかもしれないこと(動かざるを得ないかもしれないこと)は覚悟しておく必要があるでしょう。
光はこのような点しかないのですが、メディアがあんまり悲観的になるのもいかがなものか――です。
(吉田ハンチング@dcp)