韓国に「従来と異なった思想的傾向を持つ者」が生まれ増殖した理由。

広告
おススメ記事

韓国では、現在尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が罷免されそうになっています。

国会は、左派・進歩系『共に民主党』が過半数を押さえていますので、左巻きの思いどおりに法律が通せる状態です。

しかし、不思議だとは思われないでしょうか。

朝鮮戦争で共産主義、北朝鮮の侵略を受けた国なのに、21世紀の現在、国会議員の過半数が親北、親中国の左巻きに支配されているのです。

どうして韓国はこんな国になってしまったのでしょうか。

このおかしな国の現状を理解するためには、歴史を振り返る必要があります。

先に結論をいってしまえば、共産主義にかぶれたインテリ層がやがて北朝鮮の主体思想かぶれに変容し、「従来と異なった思想的傾向を持つ者」が誕生、それが社会の支配層に成り上がったため――です。

古田博司先生の解説を以下に引用します。

(前略)
韓国では一九六一年に北朝鮮の政治的浸透を防遏ぼうあつするために反共法が制定され、これに基づく言論基本法によって言論が統制されて、長くマルクス・レーニン主義文献は禁書であった。

そのため、七〇年代までの韓国のインテリはマルクス経済学すらよく知らなかった。

ところが一九八二年、カール・マルクスの生涯の研究および理念書や研究批判書に対する出版規制が緩和された。

このとき私が日本語の家庭教師をしていた大学生が、岩波文庫版の『共産党宣言』を読んでいたことを今でもよく覚えている。

共産主義文献は徐々に大学に広まっていった。

一九八三年には、学園民主化措置によって学生運動家の学園復帰がなり、八四年には制服警官が大学から撤収していった。

それを機に民主化闘争委員会が結成され、学生運動の基軸は政治闘争となった。

民族の民主化と民族自主統一のための闘争委員会(三民闘)が結成され、八五年にはソウルのアメリカ文化院占拠事件が起こる。

同年ソウル大学を中心に北朝鮮の主体思想を報じる主体思想派が生まれ、犯帝民主革命論(韓国社会は米帝とその手先が支配する植民地社会だ、とする)という理論を掲げ、八六年にはソウル大学総学生選挙で勝利を収めて、他大学にも次々と同様の学生組織が生まれていった。

翌八七年は盧泰愚ろたいぐ大統領による、いわゆる「民主化宣言」の年である。

これによって当局の大学に対する監視の目はいよいよ緩和され、逆に学生組織は先鋭化していった。

同年、ソウル地域大学生代表協議会(ソ大協)が発足し、さらに全国大学生代表協議会(全大協)へと拡大していった。

これらの組織結成において指導的役割を果たしたのが、主体思想派だったのである。

そしてこれと車の両輪のように、八九年には盧泰愚大統領の北方政策が始まり、韓国は北朝鮮を通じて中国やソ連との関係を次第に密接なものにかえていった。

八八年、八九年ころの韓国の大学街では次のような驚くべき内容の大学新聞が読まれていたのである。

「運動の発展過程をふさぐ二つの思想的障壁は、崇米と反北意識である。

八六年以後のたゆまぬ闘争により、崇米意識を大衆的に撃破したのに対して、いまだに反北意識は鉄がめの城ようにわれわれの前に立ちふさがっている。時代的要求は反北意識の克服を切実に要求している」
(「投稿・六月抗争とその成果の現在的継承」『大学新聞』ソウル大学、一九八八年六月六日付)

「北朝鮮理解の基本的観点は『自主的民族国家樹立いかん』に置くべきである。

北朝鮮理解の大きな枠が『自主』になることは、すなわち主体思想を土台として動く北朝鮮の姿を客観的に理解しなければならないということに通じる」
(「企画・北朝鮮現代史北朝鮮研究の基本的視覚と方向 北朝鮮理解 理念を超える民族的観点が要求され」『高大新聞』高麗大学、一九八八年九月一二日付)

この結果、大学街に「北朝鮮を知る運動」という運動が、祖国統一運動の一環として展開され、韓国社会は米帝国主義の植民地であり、祖国統一革命を完成するための予備的社会である、というイデオロギーが蔓延していった。

これは北朝鮮の「民主基地論」(北朝鮮を朝鮮の統一・民主主義革命の基地とみなす。一九四六年提唱)、三大革命力量論」(南朝鮮革命のためには、北朝鮮、南朝鮮と国際的革命の3つの力量が必要とされた。一九六四年提唱)の明らかな浸透であったが、一般学生たちはこの事実を知ることはなかった。

この八〇年代に大学時代を送った、六〇年代生まれの者たちは、九〇年代には三十歳代となり、従来と異なった思想的傾向を持つ者たちとして、「三八六世代」と略称された。

彼らは現在(この論文の初出は2004年:引用者注)、四十歳代となり、現政権の支持基盤となるとともに、今日、市民団体幹部や国会議員を輩出している。

つまり、ソウルオリンピックを終えたころには、韓国社会は国家主義ナショナリズムから朝鮮民族主義ナショナリズムへと力点を移すとともに、標的は犯日から反米へと映っていったのである。

これはおそらく、オリンピックの成功により、もうすぐ日本を超えられるのだ、という楽観論が生じたことと無関係ではなかろう。

国民統合は完成しつつあり、つぎは北の同胞へと彼らの眼差しが向かった。

そこに北朝鮮の思想工作が密かに進展していった可能性を否定することはできない。
(後略)

⇒参照・引用元:『東アジア「反日」トライアングル』著:古田博司,文藝春秋,2015年10月20日 第1刷発行,pp33-36

なぜ韓国が2025年になっても、親北朝鮮、親中国、反米な人(反日は当然)が支配する国になっているかの説明がこれです。

386世代の基礎素養が、主体思想派によって先導されたものであり、その思想に染まった学生運動圏上がりの人々が教師、弁護士、メディア、議員、医師、司法など、社会の上層部を牛耳っているからです。これがときに「司法カルテル」などの名称で指摘されるわけです。

386世代は現在では「586世代」といわれますが、いまだに同じ思想を持ち、政治を主導して自分たちに都合の良い政治システム、司法システムに作り変えようとしています。

その最終兵器ともいえる人物が、金大中-盧武鉉の系譜につながる文在寅でした。

なぜ21世紀にもなって、金ちゃんファミリー三代目が支配している中世カルト国家のような「国」に忠誠心を発揮しているのか、全く意味不明ですが、韓国のインテリ層はことほどさように「いまだに学生運動をやっている」ようなものなのです。

ですから、現在、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領弾劾反対を叫び、「左派・進歩系のクズどもめ」と態度を鮮明にした若い世代の皆さんは、「かつての学生運動」に対する「(時間軸を飛び越えた)異議申し立て」を行っている――と見ることができます。

国民を飢餓で何百万人も殺し、ミサイルを日本海に打ち込み、核兵器で世界を恫喝する国、およびその指導者(世襲)にシンパシーを抱く――自分の中でいったいどういう整合性が取れているのでしょう。

韓国だけではありません。日本国内でも「良心的知識人」などと呼ばれる人々がいて、運動圏上がりのボンクラに同調していたりします。

20世紀中に「間違っていました」と判明した社会システムの方へ、21世紀になってから走っていく――こういうのを「ばかは死ななきゃ治らない」というのではないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

広告
タイトルとURLをコピーしました