2024年01月16日、韓国『現代自動車』の中国合併法人『北京現代』が重慶工場を2023年末に現地法人に売却したことが分かりました。
金額は約2,990億ウォン(16億2,000万元)で、売却先は重慶両江新区※『鱼复工业园建设投资有限公司』です。
※重慶の「両江新区」は2010年に国家レベルで設立された経済新区。広さは約1,205平方キロメートル。
韓国メディアでは、この売却を「売りに出してから4カ月で売却できた」「脱中国がスピードアップする」などと書くかもしれませんが、実のところ、これは手痛い敗北に他なりません。
↑2015年の重慶工場の起工式。このときは鄭義宣(チョン・ウィソン)さんも意気軒昂だったのですが、結局売却して撤退することになりました。
なんと投資金額の8割引きで売却!
『現代自動車』が重慶工場に投資した金額は約77億元(中国メディア『第1財経』の報道による)。売却情報が報じられた2023年08月時点での売却予定金額は「36億8,400万元」でした。
このとき「『現代自動車』は投資した金額の半値で工場を売却する」と揶揄するような報道がされていました。
ところが、今回決まった売却金額は「16億2,000万元」ですから、半値のさらに約44.0%の金額にまで下げないと買ってもらえなかったことになります。
投資金額77億元の約21.0%ですから、ほとんど8割引きです。しかも、この重慶工場は『現代自動車』が中国に5番目に造った、最新設備を導入したものだったのです(2017年08月に完成)。
ですから「中国企業に買い叩かれた」というのが実態です。
『現代自動車』の工場は2つ残るだろうか?
Money1でもご紹介しましたが、2021年には、中国本土に最初に造った北京第1工場を売却。今回の売却によって、『現代自動車』が中国に造成した工場は残り3つとなりました。
韓国メーカーの自動車は急速に中国で売れなくなっており、もはやシェア回復は絶望的です。そのため、『現代自動車』は中国本土工場を2つに絞る予定です。
2つも残るかな?に要注目です。
なぜなら『現代自動車』が掲げている対中国市場戦略が妥当なものとは思えず、さらに販売台数は低迷すると見込まれるからです。
『現代自動車』は、中国市場を「ジェネシス」ブランドの高級路線、価格が高いSUVで攻略しようとしています。しかし、これは土台無理なのです。なぜなら、中国の皆さんは、韓国メーカーを高級ブランドなどとは考えておりません。
つまり『現代自動車』は自分たちの自動車が高級路線でも通用すると考えているのですが、中国の皆さんはそうは見ないのです。だから売れません。
かといって安値路線の自動車は、それこそイナゴのように中国の地場企業が押さえています。ですから、韓国メーカーの自動車は中国市場では「詰み」なのです。
(吉田ハンチング@dcp)