Money1でもご紹介したことがある、中国天津市にある「高銀117ビル」。着工されたものの建設途中で工事の進行が止まった、「世界最大規模の未完成物件」として有名です。
総工費は700億元、地上128階、地下4階建て、高さ596.49メートルで、完成すれば世界最高層レベルの建築物になる予定でした。
同ビルの工事は2008年09月10日に正式に開始。地下部分の完成に4年を要しました。 2012年にメインタワーの建設が始まり、これには3年かかりました。
2014年には、『国有資産監督管理委員会』の公式サイトは「現在建設中うの天津117タワーが中国北部で最も高いビルになる」と誇りました。
中国国家建設工程総公司傘下の中国建設第三工程局が建設している天津117タワーのメインタワーのコアチューブ、84階のコンクリート打設が完了したと2014年09月17日に発表。
しかし……です。香港『高銀地産グループ』が2015年半ばの中国株式市場の崩壊後、資金繰りに行き詰まりました。上棟を終えた後、工事が停止。
※『高銀地産控股有限公司』はすでに破綻しています。
以降、約10年間、天津市に「造りかけのビル」が無惨な骸をさらすことになりました。中国の夢の廃墟、また「超高層の呪いの新たな例」といわれることになったのです。
しかし、ひっそりと『全国建筑市场监管公共服务平台』の情報が更新されました(2025年04月17日)。これを目ざとい観察者が見つけ中国語SNSで話題となりました。さらに外信メディアがこれをニュースに取り上げました。
以下がプラットフォームで更新された情報です。
このデータによると、
工事名称:天津濱海新区鉄件和服務外包基地供應配套区中央商務区(11小分区)綜合業務楼(測量1号樓)
建設位置:濱海新区環外
建設規模:41万8,020.0000平方メートル
工期:2025年04月30日 ~ 2027年04月30日
契約価格:56億8,741.813万元
工期は2027年04月30日となっていますので、あと2年で竣工ということでしょう。契約価格は約57億元(約1,123億円)としています。
↑上層部は鉄骨むき出しのママで10年間放置されました。
問題は、竣工してもテナントが入るのか?――です。中国当局は「世界最大の未完成建築物」という恥ずかしい称号を取り除けるのかもしれませんが、読者の皆さまもご存じのとおり、中国は現在、地獄のような不景気です。
企業は人員削減、給与削減に励んでおり、企業が存続するならまだマシで、多くが企業が飛んでオフィス閉鎖を行っています。このような情報で「借りる人」がいるのか?――です。
天津市の例外ではなく、オフィスの空室率は35%に達する――とされているのです。
完成した方がいいのでしょうが、完成してもなあ……なのです。中は誰もいません――みたいなことになる可能性があります。
(吉田ハンチング@dcp)