先に「韓国・トルコ通貨スワップ」についてご紹介した際に、一つ書き落としていたのでご紹介します。
トルコは2021年06月15日に急きょ中国との「通貨スワップ」の規模を拡大しているのです。
2019年05月30日に締結された『中国人民銀行』と『トルコ中央銀行』との「通貨スワップ協定」によって提供される資金を、トルコは2020年06月18日に初めて利用しました。
コロナ禍で外貨準備がやせ細っていく中のことでした。
で、2021年です。
2021年06月15日遅くに『トルコ中央銀行』が「『中国人民銀行』と通貨スワップの拡大に合意した」と声明を出します。
利用限度額は「460億トルコリラ/350億人民元」(350億人民元は2021年08月14日のレートで約54億ドル)となりました。
↑「通貨スワップ」の金額拡大を公表する『トルコ中央銀行』のリリースThe bilateral currency swap agreement, which was signed on 30 May 2019 between the Central Bank of the Republic of Turkey (CBRT) and People’s Bank of China (PBoC), has been increased by 35.1 billion Turkish lira and 23 billion Chinese yuan, reaching a total of 46 billion Turkish lira and 35 billion Chinese yuan. The increased amount has been recorded in CBRT accounts as of 15 June 2021. The core objectives of the agreement are to facilitate bilateral trade in respective local currencies and to support financial stability of the two countries.
2019年5月30日に『トルコ共和国中央銀行』(CBRT)と『中国人民銀行』(PBoC)との間で締結された二国間通貨スワップ協定は、351億トルコリラと230億人民元※が増額され、合計で460億トルコリラと350億人民元となった。
この増額分は、2021年6月15日付でCBRTの口座に計上された。
本協定の主な目的は、それぞれの現地通貨による二国間貿易を促進し、二国間の金融安定を支援することである。
⇒データ引用元:『トルコ中央銀行』公式サイト「Press Release on the Swap Agreementbetween CBRT and People’s Bank of China」
※230億元は2021年08月14日のレートで約36億ドル相当
注目したいのは「2021年6月15日付けでCBRTの口座に計上された」です。
本件を報じたトルコメディア日刊紙『Sozcu』の記事では以下のように「入金された」と紹介しています。
(前略)
Açıklamada, swap anlaşmasında miktarın artırıldığı ve 15 Haziran itibarıyla ek miktarın hesaplara girdiği belirtildi.声明には、スワップ契約で金額が増額され、06月15日付けで追加金額が口座に入金されたと記載されていた。
(後略)
これが本当に着金を意味するなら、協定を結んだその日に協定を発動させ、『中国人民銀行』に人民元を入れてもらったことになります(自分たちもトルコリラを先方の口座に入れますが/刷ればいいので楽勝)。
しかも「この増額分は」と書いてあるので、増えた230億元、目いっぱいまでその日のうちに行使した、ってことになります。
トルコは自転車操業になっていないでしょうか。
中国もよく230億元もの拡大に応じたものです。中国企業への支払いが滞ることを恐れてのことでしょう。もちろん、合衆国ともめているトルコへの中国の影響力を増したい、という政治的意図もあると思われます。
で、08月12日に締結が発表された「韓国トルコ通貨スワップ」です。
こちらはトルコ側から「すぐに入金してくれ」みたいなことは言われなかったのでしょうか。
↑韓国との通貨スワップ締結を公表する『トルコ中央銀行』のプレスリリース⇒参照・引用元:『トルコ中央銀行』公式サイト
上掲のとおり、中国との「通貨スワップ」についてのプレスリリースに見られた「口座に計上した」という言及はありません。
まだ利用されていないようですが、トルコは外貨不足で困っている国ですので、ウォンを利用するのも遠いことではないかもしれません。韓国企業への支払いが滞ることになったら韓国も困るので仕方がないですね。
(吉田ハンチング@dcp)