2021年04月07日に『韓国銀行』は02月末時点での「国際収支統計」を公表しました。このデータの中から韓国にとって最も大事な「貿易収支」についてご紹介しましたが、実は02月には非常に珍しいことが起こっていました。
何度かご紹介していますとおり、経常収支は、
貿易収支
サービス収支
第1次所得収支
第2次所得収支
の4つから成ります。
韓国の場合、貿易収支が最も大きく黒字(ここが黒字でないと国が成立しない)、サービス収支は赤字、第1次所得収支は小さく黒字、第2次所得収支は赤字――となります。
例えば、2020年の月次それぞれの平均金額を見ると以下のようになります。
貿易収支:68.3億ドル
サービス収支:-13.5億ドル
第1次所得収支:10.0億ドル
第2次所得収支:-2.1億ドル
経常収支(上記4つの合計):62.7億ドル
ところが、2021年02月には以下のようになっています。
貿易収支:60.1億ドル
サービス収支:1.3億ドル
第1次所得収支:21.2億ドル
第2次所得収支:-2.1億ドル
経常収支(上記4つの合計):80.3億ドル
いつもなら赤字のはずの「サービス収支」が黒字になっています。実はこのサービス収支の黒転は、韓国にとって非常に珍しいことなのです。
以下をご覧ください。
韓国の「サービス収支」の2014年01月~2020年02月の月次推移ですが、ほとんどが「0の下」、つまり「赤字」であることがお分かりいただけるでしょう。
2021年02月以前で最後にサービス収支が黒字になったのは、2014年11月までさかのぼらないと見当たりません。これぐらい韓国でサービス収支が黒字になるのは椿事なのです。
『韓国銀行』はこの黒字化について以下のように説明しています。
輸送収支の改善などで、前年同月14.4億ドルの赤字から1.3億ドルの黒字に転換
韓国メディアでは「02月の経常収支は80億ドルの黒字だ!」と大きく報道されていますが、韓国の経常収支は、上掲のとおり、普通なら貿易収支より大きくはなりません。なぜ80億ドルを達成できたかといえば、サービス収支が黒転したからです。
では、このサービス収支の黒字は続くのでしょうか? もう少し見ないと分かりませんが、コロナ禍を抜けるにつれ、赤字に戻るものと考えられます。
(吉田ハンチング@dcp)