2025年03月17日、中国の国家統計局が「01~02月の中国経済は安定したスタート、発展の勢いは『新しく・好ましい』方向へ」というプレスリリースを出しました。
01~02月、中国では習近平同志を核心とする党中央の強力な指導の下、各地域・各部門が党中央と国務院の決定と方針を深く実行し、「安定の中に進展を求める」という基本方針を堅持し、新しい発展理念を全面的かつ正確に貫徹し、新たな発展構造の構築を加速し、高品質な発展を着実に推進しました。
包括的な既存政策と追加政策の効果が引き続き発揮され、工業とサービス業は比較的速い成長を見せ、消費と投資も引き続き改善されました。
雇用情勢は全体的に安定しており、新たな質の生産力も成長・拡大し、経済運営は安定したスタートを切り、発展の勢いは「新しく、好ましい」方向に向かっています。
(後略)
文書タイトルにあるとおり、このプレスリリース内では、あくまで中国経済の動向が「良くなってきた」という調子で述べています。大本営発表なわけです。
「中国では習近平同志を核心とする党中央の強力な指導の下」がまず大笑いですが、それはともかく中国経済は良き方向に向かっているだそうです。
ご注目いただきたいのは、「雇用情勢は全体的に安定しており」の部分です。
(前略)
6. 雇用情勢は全体的に安定、都市部の調査失業率は安定推移01~02月の全国都市部調査失業率の平均値は5.3%でした。
02月の全国都市部調査失業率は5.4%で、前月より0.2ポイント上昇しました。
地元戸籍を持つ労働者の調査失業率は5.6%、外来戸籍を持つ労働者の調査失業率は5.0%でした。そのうち、外来の農業戸籍を持つ労働者の調査失業率は5.1%でした。
31の主要都市における都市部調査失業率は5.2%でした。
全国の企業における雇用者の週間平均労働時間は47.1時間でした。
(後略)
お気付きでしょうか、「仕事がない」と困窮している16~24歳、青年層の失業率について言及がありません。
言わなかったら「なかったこと」になるのかというと、そうではありません。2023年07月以降にデータの公表を取りやめたことで、自由民主主義陣営国から注目されています。今度また取りやめるようなことがあれば、失笑を買うことになるでしょう。
実は言及はないものの、データ自体は公表されています。
国家統計局のデータによれば、2025年02月の「全国都市部の16~24歳の失業率(学生を除く)」は「16.9%」です。
中国語SNSによれば、青年層が体感する失業率はこんなものではなく、50~60%といった声もありますが、一応当局のデータでは約17%です。この当局のデータで推移を見ると以下のようになります。
上記のように、公表を取りやめていた期間があります。これは都合が悪くなったので、データ公開をやめたと推測されており、当局は「統計の取り方を変更して公表を再開した」と説明しています。
最後の公表データは「21.3%」。
ここから推測すれば、5人に1人は失業しています――という事態になると、中国共産党政府にとっては都合が悪いようです。
上記グラフを見ていただけれスグにお分かりいただけるでしょうが、公表再開以降は、この「21.3%」未満で推移しています。
当局は、これを「雇用情勢は全体的に安定」と評しているのでしょうか。中国経済の景気はさらに悪化の度を強めているというのに、このデータを信じろというのでしょうか。
「雇用情勢は全体的に安定している――と当局は偽装しており……」の間違いではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)