韓国による対米戦略投資についてです。

↑食わせ者のラトニック商務長官相手に交渉を進めていたのは、産業通商資源部の部長(長官)金正官(キム·ジョングァン)さんです。
業を煮やしたのか、2026年09月30日(現地時間)、アメリカ合衆国のトラン大統領は、韓国による対米投資について、
❶テキサス州の6GW級ガス発電事業=約223億ドル
❷大型原発8基=1,200億ドル
❸アラスカLNG事業=500億ドル超
――を進めると発表しました。合計するとおおむね2,000億ドル規模になります。
発表したのは、韓国の産業通商資源部の公表より早く、まずこの点が面白いところです。

↑この発表については、ホワイトハウス公式動画「President Trump Makes an Announcement with the Secretary of Commerce」で見ることができます。トランプ大統領本人がホワイトハウスの大統領執務室(Oval Office)で、ラトニック商務長官らを横に置いて記者向けに発表しました。ただし、1,200億ドル、220億ドル、500億ドル超という個別の金額を具体的に説明したのは、主としてラトニック商務長官です。
ホワイトハウスでの発表の後、トランプ大統領は長文を『Truth Social』に投稿。以下がその全文和訳です。
ニューヨークで、私は韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と会談し、合衆国で2,000億ドルの新規投資を開始することで合意した!
昨年、私が李在明(イ・ジェミョン)大統領と合意した3,500億ドルの韓国戦略貿易・投資協定の下、合衆国全土で米国のエネルギーと米国の電力を構築していく。
われわれは、韓国による投資の約束を巨大な建設プロジェクトと、何万人もの合衆国人の雇用へと変えようとしている。
これらは、合衆国の発電能力を増強する大規模なエネルギープロジェクトだ。これは新たな建設であり、新たな製造業であり、米国の労働者にとっての素晴らしい雇用である。
第一に、合衆国と韓国は、まさにここ合衆国内に8基の大型原子炉を建設するため、1,200億ドル規模の原子力発電計画を進めている――ウェスティングハウス製AP1000原子炉6基と、韓国製APR1400原子炉2基だ。新たな原子炉8基。
合衆国の電力。合衆国の建設。合衆国の製造業。より多くのベースロード電源、そしてわが国のさらなるエネルギー安全保障。
第二に、合衆国と韓国は、500億ドル規模のアラスカLNGプロジェクトについて、共同で取り組みを開始することで合意した――われわれの偉大なアラスカ州が持つ莫大な資源を解き放ち、新たな合衆国の天然ガス・インフラを構築し、われわれの素晴らしい合衆国の労働者の手によってそれを建設する。このプロジェクトは、アラスカの人々に変革をもたらすことになる。
第三に、テキサス州エンシナルにおける、220億ドル規模、6.4ギガワットの巨大な天然ガス火力発電プロジェクトだ。これはテキサス州に、膨大な新たな、信頼性の高い発電能力をもたらす。
これらは、何世代にもわたって合衆国を変革し得る種類のプロジェクトだ――より多くの電力、より多くの建設、より多くの製造業、より強固なエネルギー安全保障、そして米国の労働者にとっての大規模な新たな機会である。
これらのプロジェクトは、先端製造業、半導体、そして未来のあらゆる素晴らしい産業を含め、私の政権下で合衆国に流入した数兆ドルの投資を支えることになる。
われわれは、その能力をここ、アメリカ合衆国で構築しており、本日発表したプロジェクトは、今後何世代にもわたって、われわれに電力を供給する助けとなる。
これらの案件を実現させているのは、われわれの貿易協定だ。合衆国における、本物の投資、本物のプロジェクト、本物の能力、そして本物の雇用だ。
合衆国は再び建設している!
ドナルド・J・トランプ大統領
⇒参照・引用元:『Truth Social』@realDonaldTrump
先にご紹介した――「レセプションの時間に無理からねじ込んて実現した米韓首脳会談」では、トランプ大統領と2,000億ドルの対米戦略投資の中身について合意していたことになります。カツアゲ成功!――と誇るような記述です。
韓国政府の説明と齟齬がある
ところが韓国政府の説明は違います。
現時点で投資案件として実質的に決まっているのはテキサスのガス発電事業で、原発8基とアラスカLNGは条件付き・検討段階という立場です。
特にアラスカLNGについて韓国産業通商部は2026年10月01日、
「投資するかどうか、投資規模について何も決定されていない」
と明言しています。
金正官(キム・ジョングァン)産業通商部資源部長官も、米国側とは「商業的合理性がなければ推進しない」という認識を共有していると説明しています。
『Reuters(ロイター)』の報道によれば――金正官(キム·ジョングァン)長官がハワード・ラトニック商務長官に対して、ホワイトハウスの発表内容に異議を申し入れたことです。
金正官(キム·ジョングァン)長官は合衆国側の発表が「合意した範囲を超えている」として遺憾の意を伝えた――とのこと。
つまり現状を整理すると、
3,500億ドルという全体枠:合意済み
⇒ 1,500億ドル:造船協力
⇒ 2,000億ドル:直接投資枠
テキサス・ガス発電所:約223億ドル:具体化
原発8基:約1200億ドル:合衆国は事実上決定したように発表しましたが、韓国は商業性などの条件を付けています。
アラスカLNG:500億ドル超:合衆国は投資案件として発表したが、韓国は「投資するかどうかも決まっていない」と明言。
――という具合に、かなり大きなズレがあります。
トランプ大統領の発表は先走り過ぎ!
先の記事で、韓国産業通商資源部が公表したプレスリリースの全文和訳をご紹介しましたが、

――その分類によれば対米戦略投資のプロジェクトは大別して3つ。
産業通商資源部によれば、
Project Star(テキサス)
⇒ 投資決定・国内手続き完了・正式推進
Project Power(原発8基)
⇒ 1,200億ドルの基本枠組み合意。ただし個々の原発建設は未決定
Project North(アラスカLNG)
⇒ 検討開始。投資すること自体が未決定
――というステータスです。
ですから、トランプ大統領の発表は、韓国政府の公式説明よりも明らかに一歩も二歩も先まで「決まった」ように聞こえる表現だったことが分かります。
また問題は「上限200億ドル」とフレームは切ったものの、お金があるのかしら――です。
(吉田ハンチング@dcp)





