前の『韓国銀行』総裁が新年の賀詞交歓会で「借金までして投資するんじゃない」と戒めたのは、コロナ禍の天底から急速に株価が戻り、韓国に株式投資ブームが起きたからでした。
李総裁がそういったときには、「もうかるらしいぞ」と個人投資家が大挙してお金を突っ込んだ後だったのですが(その後株価は右肩下がりに転じました)。
2023年04月21日、韓国の『信用投資協会』が出したデータによると、KOSPI・KOSDAQを合わせた信用取引融資残高は「20兆1,369億ウォン」に達しています(ただし04月19日時点の金額)。
KOSPI:9兆7,434億ウォン
KOSDAQ:10兆3,936億ウォン
小計:20兆1,369億ウォン
ちなみに、20兆ウォンを超えたのは、2022年06月以降、実に10カ月ぶりのこと。ご注目いただきたいのは、KOSPIよりKOSDAQの方が額が多いことです。
これはKOSDAQの方がテーマ株が多いからです。具体的には個人投資家の投資は二次電池関連に向かったのです。
「すわ、東学アリの再始動か」という感じですが、ここが面白い点。
2023年に入って二次電池関連の株価が上がっているのですが、個人投資家の皆さんは大好きだった半導体・自動車株式から離脱し、そちらに資金を移動しました。
ところが逆に、外国人投資家や機関の皆さんは半導体株を買っています。2023年に入って外国人投資家は『サムスン電子』の株式を7兆183億ウォンも買っています。
先に、『サムスン電子』が2023年第1四半期の業績で、「営業利益が対前年同期比で約96%減少した」件をご紹介しました(以下記事)。
本件をアーニングショックという方もいらっしゃいますが、筆者などは逆に「えっ黒字で回ったじゃん」とアーニングサプライズと読んでいます。
なぜなら、そもそも証券会社のコンセンサスはDS事業部(半導体部隊)が大きな赤字で、恐らく『サムスン電子』全体も赤字になるのでは――とされていたのです。
ところが、たったの「0.60兆ウォン」ながら黒字で回してみせました。このギリギリな黒字感がいかにも「数字作りました」という感がありますが、それでもセーフでした。
そもそも第1四半期はどん底と見られていて、下半期には半導体も回復――という見立てが変わらないのであれば、どん底でも黒字になった『サムスン電子』に買いが入っても当然ではないでしょうか。
これから業績が回復するなら、株価も下がっgている今こそ仕込み時――というわけです。もちろん「下半期には回復する」という見立てが狂ったら別ですが。
さて、東学アリの20兆ウォン。これは報われるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)