2023年04月19日、『Reuters(ロイター)』の取材に対して韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が、台湾問題は「結局(中国が)力による現状変更を試みるために発生するもの」と述べました。
公に中国による現状変更の可能性について反対の立場を表明したのです。
中国は直ちに反応。
04月20日には、Money1でもご紹介したとおり、定例記者ブリーフィングで汪文斌報道官が「台湾問題についての口出しは不要だ」と表明。
簡単にいえば「余計な口出しをするな」(黙れ)と一喝したのです。
これに韓国の外交部が反撃。
駐韓中国大使の邢海明さんを呼んで「中国の国格を疑わせる外交上の欠礼だ」として抗議を行いました。韓国の大統領に対して黙れなどという旨の発言をするのは無礼だ――というわけです。
さらにこれに対して、04月21日、秦剛外交部長官が「中国の現代化と世界」というテーマでの『Lanting Forum』において基調講演を行いました。
この基調講演の中に次のような下りがあります。
(前略)
「台湾は古来より中国の不可分の領土であり、台湾海峡の両岸は同じ中国に属するというのが、台湾の歴史であり、台湾の現状である。台湾の中国への返還は、第二次世界大戦後の国際秩序に不可欠な要素である。
中国の国土が回復されれば、二度と失われることはない。
戦後の国際秩序がいったん確立されたら、それを破壊することは決して許されない。
中国の主権的安全保障に手を出そうとする者からは、決して引き下がらない。
台湾問題で火遊びをする者は、自ら火傷をすることになる。
(後略)
秦剛長官の言葉の中には、「韓国」という名指しこそありませんが、流れからいって尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の発言が念頭にあったのは確実です。
最後の文言が傑作です。「オレに触るな。やけどするぜ」と昭和の銀幕スターみたいな発言です。「やけどするぜ」より「燃やすぞ!」の方がニュアンス的に近いかもしれません。
上掲のとおり、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「台湾問題は、中国が力による現状変更を試みるために発生するもの」という認識は全く正しいです。
中国にとっては飼い犬に手をかまれたような話で、だからこそ激昂しているものと思われます。
(吉田ハンチング@dcp)