韓国は貿易のもうけで食べていて、その貿易の最大の相手国が中国ですので、国の生存を考えると中国についていかないと仕方がない――という部分はあります。
しかし、程度というものがあります。
中国は自由主義陣営との約束を守らない
かつての「市場を開放し、市場経済を受け入れれば、やがて中国だって民主主義国家になるだろう」などいう考え、見通しはすでに大甘だったことが判明しています。
市場を開放などせず、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)に加盟するときに約束した資金移動の自由化などを果たしてもいませんし、『WTO』(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)に加盟するときに約束した国有企業を減らすこと、知的財産権を保護することなども守ってはいません(アメリカ合衆国から国名を挙げて指弾されるほど低レベルです)。
その上、ここへきて「第二の文化大革命か」といわれる「共同富裕」「三次分配」のスローガンです。
このような事実から見て、中国共産党が支配する中国という国は、とてもではないですが自由主義陣営の国の常識でまともに付き合えるような国ではないのです。
いつ何をされるのか分かったものではありません。それは貿易でも同じです。
韓国は中国共産党に人質を取られているも同然である
2021年韓国メディア『朝鮮日報』に「社会主義に逆戻り…中国への投資を増やしたが、共産党の『人質』になるかもしれない」という興味深いタイトルの記事が出ています。
この記事は、『梨花女子大学国際大学院』チェ・ビョンイル教授にインタビューした記事で、韓国は中国に傾斜しているが、これはマズイのではないかと警鐘を鳴らす内容です。
同記事から注目すべきポイントを以下に引用します。
――2021年9月現在、国はどのような国なのでしょうか?
「毛沢東以来初めて生きている政治指導者の個人崇拝運動を行う国になっています。
目標は、来年秋に決まる習近平の中国共産党総書記三選にあります。
また『アリババ』『テンセント』などビッグテック(Big Tech)企業やゲーム業界、私教育にまで共産党が統制し、手綱を締めています。『資本主義』の皮を捨てて『社会主義』に本格回帰しています」
(中略)
――中国共産党発の「政治危機」による中国ビジネスリスクが最近高まっています。
「そうです。
今、中国共産党はその気になれば、いつでも国籍を問わず、工場の稼動を中断したり、天文学的な税金の懲罰金を科して会社を潰したりできます。
中国での『政治危機』は現在、変数ではなく定数です。
韓国企業も例外ではありません。中国に投資を多くすればするほど、中国共産党の人質になる危険性が非常に高いのです」
チェ教授は「このような判断は、THAAD(サード)導入に対する報復以来、ロッテを見舞った苦境(不買運動のこと:筆者注)、最近では『サムスン重工業』の浙江省・寧波造船所の撤退決定に反発する中国の労働者数千人のデモで確認できます」と述べた。
(中略)
「韓国企業は中国をこれ以上『ビジネスチャンスの地』だと勘違いしてはいけません。
中国について覚悟がなく取り組めば、大きな衝撃と苦味を味わうことになるでしょう。
中国に進出して投資という戦略に加えて『チャイナプラス』『チャイナマイナス』『チャイナゼロ』のような、さまざまな戦略カードに柔軟に対応しなければなりません」
(後略)
チェ教授のおっしゃっていることは全くの正論。もはや中国をチャンスのある国などと考えてはいけないのです。これは日本企業にとってもいえることでしょう。
ただ「生きている政治指導者の個人崇拝運動を行う国」を進めている国は、韓国のすぐ北にもありますね。
無邪気に北京五輪に付き添ってはいけない! えっ?
大変に面白いのは以下の下りです。
(前略)
――来年2月には北京冬季オリンピックが開かれる。「2008年の最初の北京オリンピックが中国の経済大国負傷を世界に誇示する展示場であったのなら、第二の北京オリンピックは、中国体制の優位性を誇示する宣伝の場になるでしょう。
中国は、デジタル人民元、顔認識技術などを搭載した『デジタル・レーニン主義』体制を全世界に誇ることになります。
私たちはここに無邪気に付き添い人として立ったり、ご機嫌を取ったりしてはならないと思います」
(後略)※引用元は同上。
チェ教授には誠に申し訳ないのですが、御国の大統領は北京五輪の際には、ほいほい出かけて行きそうな勢いになっています。左派政党に圧倒的な議席を与え、大変に左に傾いた人を大統領に選んだせいです。
教授の指摘どおり、中国は第二の文化大革命を起こす寸前まで社会主義に回帰していますが、韓国はもはやそこに進んで飲み込まれそうなのです。
これをどうするおつもりでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)