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信用取引とはナニか その05「逆日歩のリスク」

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信用取引のリスクについての続きです。信用売買で売り玉を建てる(空売を行う)場合には、「逆日歩」のリスクについて気を付けなければなりません。実は、空売をする場合の最大のリスクはこの「逆日歩」といっても良いぐらいです。今回は「逆日歩」についてご紹介します。

■逆日歩は「制度信用取引」で発生する可能性がある!

逆日歩は信用売りで「制度信用取引」を選択した場合に発生する可能性があります。

持ってない株を売ることができる「空売」ですが、その株は証券会社・証券取引所から借ります。しかし、そこには「貸株料」が発生し、その分の金利を支払わなければならないというのは先の記事のとおりです。貸株料が年利「1.15%」となっていたら、「1.15%」を365日で割った「0.00315068493150685%」の金利(これが日歩)が、売り玉を建てた約定金額に掛けられ、その金額を1日ごとに負担しなければなりません。

逆日歩」はこの貸株料以外にも発生する可能性がある「経費負担」です。貸すための株式が足りなかった場合に発生します。

トレーダーに株を貸すために(証券会社を通じて)日本証券金融株式会社(日証金)が用立ていますが、その日のトレードが終わって集計してみると「信用売り残高」が「信用買い残高」を上回ってしまい「株が足りないじゃん!」となることがあるのです。

その場合、日証金はその銘柄の株式を大量に保有している銀行などの金融機関、また機関投資家から株を借りるのです。当然、金融機関や機関投資家がタダで貸してくれるわけがありませんからそこに経費が発生します。この経費をトレーダーに負担させるのが「逆日歩」です。

逆日歩」は株式が不足したときに発生しますが、問題は発生するかどうか、発生したかどうかはトレードする前、またトレード中には分からないという点です。つまり、計算できないリスクなのです。しかも、いくらになるかも事前には分かりません。

集計してから「足りない!」ですから、その日には「逆日歩」がどうなったかは分かりません。トレードの翌日には分かるようになっていますが(証券会社によって10時だったり14時だったりします)。

例えば、制度信用取引で1,000株の売り玉を建てて、逆日歩が「0.40円(40銭)」だった場合には、「1,000株 × 0.40円 = 400円」が1日当たり掛かってしまいます。

空売した銘柄を早く返済(買い)できればいいのですが、思惑と違ってその銘柄が上がったりした場合、長くホールドすることになり、逆日歩が膨らんで大損! という結果もあり得るのです。

■「逆日歩に売りなし!」 大損する可能性があるからやめとけ!

株式の格言に、

逆日歩に売りなし

という言葉があるのは「逆日歩が発生するような株式を信用売りするのは大損する(可能性がある)からやめろ!」という意味なのです。ちなみに、逆日歩が発生しているかどうかは、一応確認できます。

例えば、佐藤ボイラー(バカ)が使っている株ドットコム証券の「株価」確認画面では以下のようになります。これはサカイ引越センター(銘柄:9039/東証1部)の03月15日のデータです。逆日歩が発生していることが分かります。

「逆日歩」が発生していない銘柄を見てみましょう。以下は日新電機(銘柄:6641/東証1部)の03月15日のデータです。

しかし、上記のとおり逆日歩はその日の取り引きによって発生するもの。逆証券会社のトレード情報では「信用倍率」を確認することができますから、「信用売り」がやたらに増加してきた、といような銘柄には注意が必要です。

信用売買で売り玉を建てるときは「逆日歩」には十分気を付けなければなりません。せっかく「空売 ⇒ 返済」で利益が出ているのに「逆日歩で大損!」ということがあるのです。

「一般信用取引なら逆日歩はありません」というアピールを証券会社はしていますが、その分「貸株料」が高くなったりします。制度信用取引か一般信用取引を選択するかはトレーダーが「自分はどこまでリスクを取れるか」という判断次第です。

いずれにせよ、制度信用取引の売り玉を建てる場合には逆日歩が発生する可能性があるということを十分認識してトレードを行ってください。

(高橋モータース@dcp)