韓国の年金制度は改革が進まない ⇒ 李在明「人気が落ちるので改革案の発表はやめだ」じゃあるまいな。

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韓国は低負担・低福祉の国です。そもそも老齢年金の制度が導入されたのが1988年と遅く、これが「国民年金制度」の持続可能性にも陰を落としています。


↑『国民年金公団』の本部ビル。

国民年金制度が実際にスタートしたのは1988年01月01日。しかも最初から全国民を対象にしたわけではなく、対象は常時10人以上を雇用する事業所の18~59歳の労働者・使用者に限られていました。

農漁村への拡大は1995年07月、都市部の自営業者などまで広げて「全国民年金」と呼べる体制になったのは、なんと1999年04月です。

ちなみに日本が「国民皆年金」を実現したのは、1961年(昭和36年)04月01日です。この日に国民年金法が全面施行されました。つまり、韓国が国民皆年金を達成したのは日本より28年も遅いのです。

なお韓国が国民年金制度を作ろうとしたのは、実はもう少し早く、1973年に「国民福祉年金法」が制定されています。

しかし第1次石油危機などを背景に施行が延期され、結局1988年まで実施されませんでした。

韓国の年金制度は遅れてスタートし、もう持続可能性について問題視されている

韓国の年金制度スタートについては、『OECD』(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略:経済協力開発機構)も「韓国で民間部門労働者に対する年金適用が始まったのは1988年であり、他のOECD諸国と比べて非常に遅い」と特筆しています。

『OECD』諸国の多くでは20世紀前半には公的年金制度が成立していたためです。

韓国は全国民をカバーする体制になってから、まだ30年にも達していません。ここが致命的なポイントです。

基金にお金を積み上げる時間が短い一方で、出生率が急落 ⇒ 保険料を払う現役世代が急減して受給する高齢者が急増 ⇒ 保険料収入を給付支出が上回る段階が急速に近づく ⇒ その後は積立金を取り崩す――ということになります。

これが韓国の「見えているドボン経路」なのですが、さらに韓国では労働者人口が急減するので、もう「年金制度の持続可能性」を真剣に考えねばなりません。

例えば『OECD』は、

国民年金の拠出率を大幅に、かつできるだけ早く引き上げる。財政的に持続可能な方法で積立率を高め、少なくとも少額の積立金を確保するために、追加のリソースを活用する

――などの提言を行っています。

⇒参照・引用元:『OECD』公式サイト「OECD年金制度レビュー:韓国」

ところが韓国では年金改革の改善が遅々として進みません。年金改革は全然人気がないからです。

年金制度が続けられるように、保険料率を上げたり、給付年齢を遅くしたりなど、国民の負担を強いることになります。

年金改革を推進する政治家に非難が殺到するのは避けられず、ポピュリスリトだらけの左派・進歩系人士の政権がす進めるわけがありません。

猫に鈴をつけに行きたいネズミがいないのと同じです。

「どんなに批判されても、なんとしてもやらねば」だった尹錫悦(ユン・ソギョル)前大統領は、その意味では立派だったといえます。

呆れる他ない「韓国の年金改革」

――で、今回の本題です。『朝鮮日報』に面白い社説が出ていますので、ご紹介します。

【太平路】考えれば考えるほどあきれる基礎年金改革の頓挫

政府が基礎年金改革案を頓挫させてから2週間が過ぎたが、理解できないことが一つや二つではない。

新たに打ち出した案は、基礎年金を受給する基準をそのまま維持し、来年、所得下位30%に今年より3万ウォン多く支給するという内容だ。

改めなければならない核心部分、つまり、ある程度余裕のある人にも基礎年金を支給するという問題には手を付けられなかったのである。

これまでの李在明(イ・ジェミョン)大統領と鄭銀敬(チョン・ウンギョン)保健福祉部長官の発言は、合理的な水準で基礎年金改革が行われるのではないかという期待を抱かせるものだった。

李大統領は今年1月20日の国務会議で、「月収250万ウォン(所得認定額なので、実際の所得がその2倍近い人でも受給できる)の人が34万ウォンを受け取るのは少しおかしい」とし、「財政負担は1年間に数兆ウォン増えるのに、それでいいのか」と述べた。

所得下位70%に一律に支給しているために生じる、経済的に余裕のある65歳以上の人にも税金で基礎年金を支給するという問題を、正確に指摘したのである。

その上で李大統領は、「必要であれば下厚上薄方式にすべきだ」とも述べた。支給基準と下厚上薄型への改革を同時に語ったのである。

(中略)

ところが、その後も保健福祉部が数回にわたって基礎年金改革案の中間報告を上げても、青瓦台は特に反応を示さなかったという。

来年度の国費予算だけで25兆7,000億ウォンに上る国内最大の福祉事業に、大きな関心を持っていなかったというのは、一体どういうことなのだろうか。

保健福祉部はこれを、選定基準を基準中位所得に改めることに対する肯定的なシグナルと受け止めたという。朴洪根(パク・ホングン)企画予算処長官も07月末、基礎年金の基準を基準中位所得に変更すると述べていたことからすると、省庁間の調整まで終えていたようだ。

ところが保健福祉部は、先月27日午後2時に予定していた基礎年金改革案の説明会を、その1時間前になって突然中止し、今月01日(2026年09月01日のこと:引用者注)に出された最終案は、選定基準を従来通り維持する案だった。

結局、青瓦台が方針をひっくり返したということなのだが、なぜそうしたのかについての理由の説明もない。

他の懸案とは異なり、基礎年金改革については、これといった反対の声が出たこともなかった。

李大統領の支持率が30%台に落ち込んだため、中高年層の票を意識したのではないか、という推測が出ているだけだ。

圧力に押されてやると言い出したわけでもなく、自ら「おかしい」と言って推進するよう指示しておきながら、このようにむなしく頓挫させた例がほかにあっただろうかと思う。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「생각할수록 어이없는 기초연금 개편 무산」

珍しく、李在明(イ・ジェミョン)さんが年金制度の問題点を正しく突いたのに、突然「改革制度の方向性」発表が止まってしまった――のです。

「やめた理由」の説明が何もないのですが、自分の支持率が急落していたので、さらに人気を下がる「国民への負担を強いる発表」はできなかった――というわけです。

さすがポピュリストの権化・李在明(イ・ジェミョン)――という感じでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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