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「偽陽性の誤謬」とパターン認識 「チャートの中にパターンはあるのか!?」

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うまく儲けるために「チャートを分析しよう」といわれます。そのためにいろんな指標(INDEX)が考案され、利用されています。その中には、ある種のパターンを見いだそうとするものがあります。例えば、「Tフォーメーション」、また先にご紹介した「三角持ち合い」における「三角形」などはその代表といえるかもしれません。

しかし、人の目に見えているそのパターンというのは本当に存在するのでしょうか? そのパターンは科学的に検証された有用なものなのでしょうか?

■「パターン認識」は判断速度を上げるためにある!

人間も含めて動物には「パターン認識」の仕組みがあります。これは生き残るために「判断を速くするための機構」です。

例えば、「こんな縞模様を持つヘビには毒がある」「この形の葉の植物は食べられる」など、自分の経験・記憶から「パターンのモデルを作って、それを将来の判断に生かす」のです。成功体験、また失敗経験から、パターンを読み取ります。

パターンのモデルがあると、判断は速くなります。ヘビにばったり出くわしたときに、そのヘビが自分にとって危険かどうか、じっくり観察していていたら噛まれてしまうかもしれません。脳内に「赤と黒の大きなまだらの模様 = 毒蛇」というパターンモデルがあれば、見た瞬間に回避行動を取ることができます。

このように瞬時の判断を行うために、人間を含めて動物にはパターン認識の仕組みがあり、そのために「パターンモデルを作りだそう」というシステムが働いているのです。

■パターン認識のシステムは「間違った本当」を作り出す

有名な心理学者B・F・スキナー(Burrhus Frederic Skinner)は、あるときこのような実験を行いました。

箱の中に鳩を1羽入れます。この箱には押すとエサが出るスイッチがあります。この中に入れられた鳩は、そのうちスイッチを押すとエサが出ることを学習します。

そして、押すと必ずエサが出るのではなく、ランダムなタイミングでエサが出るようにしてみました。すると……。鳩はいろんな試みをしてエサを出そうとするのです。例えば、2回反時計回りに首を回し、その後で時計回りに首を回した後にスイッチを押す、といった行為をする鳩まで現れました。

つまりこの鳩は、そうして押したときにたまたまエサが出たので、「これがエサを出す方法だ」とパターン認識したわけです。給餌はランダムになっているので、残念ながら鳩の認識は間違っているのですが。このように、「間違った本当」を本当だと認識することを「偽陽性の誤謬」といいます。ランダムな事象の中に何らかのパターンを見いだしてしまうことがあるわけです。

さて、ここでチャートの話に戻ります。筆者は「パターンを見いだして儲けよう!」という言い方、やり口が好きではありません。見いだされるというパターンが本当に有効なのか、きちんと検証されているのか? と思うからです。「偽陽性の誤謬でない」と誰が保証しているのでしょうか?

(吉田ハンチング@dcp)