韓国の潜在成長率が下落しているという件は先にご紹介しました。これは韓国の成長エンジンが弱体化していっていることを示しています。
2021年09月20日、韓国メディア『朝鮮日報』にこの証左となる非常に興味深い記事が出ました。
『韓国銀行』の公表してきた50年間の「GNI」(Gross National Incomeの略:国民総所得)データを調査し、「労働者の賃金」「企業の利益」の1年間の平均伸び率を算出しました。
朴正煕(パク・チョンヒ)大統領から現文在寅(ムン・ジェイン)大統領まで、「労働者の賃金の1年間の平均伸び率」「企業の利益の1年間の平均伸び率」をプロットすると以下のようになるのです。
この50年間で「労働者の賃金の1年間の平均伸び率」「企業の利益の1年間の平均伸び率」はどんどん右肩が下がっています。
ご注目いただきたいのは、「企業の利益の1年間の平均伸び率」の青色のラインです。
文政権下の2017~2020年で、ついにマイナス成長に転じました。これは大問題です。
企業は利益を出して、それを基に新たな投資を行い、事業を拡大。これが新たな雇用を生む原動力であり、経済発展の根幹です。
企業が利益を出すことができなければ、経済成長のモトがありません。つまりエンジンが動かないということです。コロナ禍があったので、2021~2022年で回復する可能性はありますが、以下の韓国企業の利益額の推移を見てください。
2017年:503兆ウォン
2018年:498兆ウォン
2019年:463兆ウォン
2020年:441兆ウォン※データ引用元は同上
2020年はコロナ禍の影響が大ですが、文在寅大統領が就任以降、2019年のコロナ前まで減少を続けています。2019年の「463兆ウォン」は文大統領が就任した「2017年:503兆ウォン」と比較して「8.0%減少」しています。
これが最低賃金を上げ、大企業を目の敵にして規制を推進した文政権の成果というわけです。すごい政治手腕と呼ばなければならないでしょう。
かつての「1997年:アジア通貨危機」「2008-2009年:韓国通貨危機」は韓国経済を揺さぶりましたが、それでも韓国企業は年平均「16.6%の利益成長」「5.6%の利益成長」があったのです。
翻って、このように企業利益がマイナス成長となってしまった今、経済危機が来たら韓国は耐えられるのでしょうか……。
(吉田ハンチング@dcp)