中国で食品価格の上昇が話題になっています。以前にもご紹介しましたが、中国の食糧自給率は近年下落傾向にあり、今や中国は多くの農作物・畜産物を輸入に頼る国となっているのです。特にここ最近では「豚肉」の価格上昇が尋常ではありません。
09月03日、商務部の発表したデータによると中国の豚肉の卸売価格は、08月26日-09月01日までで「1kg当たり34.59元」。これはその前週の価格より8.9%も上昇しています。ちなみに06月初旬までは「1kg当たり20.69元」でしたので、3カ月で1.67倍に上昇したことになります。
⇒参照・データ引用元:『暑中国』「一年前后 大陆官媒对猪肉态度天壤之别(图)」(中国語)
http://www.a.co.nu/do/Q_ak/hL9gx8N_ezRYvLejh/YNt3/yw/s-rJ/-J/-J/906697.html
日本人にはあまり知られていないのですが、中国では豚肉が好んで食べられます。食の西洋化によって牛肉の消費も大きくなっていますが、中国では肉といえば豚肉の方がポピュラーなのです。そのため、豚肉の急激な値上がりは庶民にとっては大問題です。
また以下の記事では、北京の市場で豚肉の価格が08月23日には「1ブロック13.70元」をつけ、これは07月23日の「1ブロック11.0元」と比較して24.55%の上昇。昨年同期は「1ブロック8.90元」だったのでなんと「53.93%」も上昇したことを報告しています。
⇒参照・データ引用元:『暑中国』「猪瘟害惨人!北京猪肉1天1涨 福建回“粮票”时代(组图)」(中国語)
http://www.a.co.nu/do/z_aZ/XL3gx8g_xzRYGLe0h/YNt3/yw/s-rJ/-I/sW/904980.html
合衆国産豚肉に掛かる関税は「62%」
中国で豚肉価格が上昇しているのは、アフリカ豚コレラの流行が中国を襲ったのが主な原因とされますが、合衆国との貿易戦争がこれに輪を掛けているのは言うまでもありません。
中国は、合衆国産豚肉に対してそもそも12%の関税(最恵国待遇の関税率)を掛けていましたが、合衆国との関税賦課合戦によって25%(04月02日以降) + 25%(07月06日以降)の関税を追加賦課することになっています。つまり、計62%もの関税を掛けて豚肉を輸入するハメに陥っているのです。
アフリカ豚コレラの流行によって自国内の豚肉生産量が激減し(25%減ったという推計があります)、ただでさえ価格上昇を招く状況なのに、関税賦課合戦によって自らの首を絞めた格好です。
さらには中国が容認している「元安」が輸入コストを上昇させていることも原因の一つです。
中国はこの高い豚肉の輸入を避けるため輸入先をカナダに変更しているとされますが、それでも豚肉価格の急上昇を止めることはできなていません。恐らく2019年中は豚肉価格は上昇し続けるのではないか、という観測もあり、中国庶民は我慢を強いられそうです。
⇒参照:『Money1』「ね、『1ドル=7.2元』を目指しているでしょ! 中国はどこまで元安を許容するか」
https://money1.jp/?p=10031
⇒参照:『Money1』「中国企業の無茶な資金調達のお話 これは無理ゲー!」
https://money1.jp/?p=10078
(柏ケミカル@dcp)