アメリカ合衆国の下院で、「レアアース」の中国依存を減らすための法案が上げられました。
「レアアース」(希土類)は重要な戦略資源です。半導体や電池などハイテク産業を担う原料として安定した供給がなされる必要があります。
「レアアース再利用法」が下院に提出される
かつて日本は中国からこの点を突かれて急きょ対策を練る局面にさらされました。
代替供給元の確保を急いだこと、WTOで中国が敗訴したことで幸いピンチを脱したわけですが、中国共産党を瓦解させるために対立を激化している合衆国もこの点を懸念しています。
2020年09月01日、テキサス州選出のランス・グッデン(Lance Gooden)議員とビンセント・ゴンザレス(Vicente Gonzalez)議員は「Reclaiming American Rare Earths Act」(レアアース再利用法)を下院に提出しました。
この法案は、レアアースのリサイクルを進めて中国への依存を減らそうというものです。
現在、合衆国国務省は「重要な戦略資源として35のレアアース」をリストアップしていますが、うち22種類について中国企業が主要な取引先です。また、14種類が完全に外国企業に依存しています。
レアアースのリサイクルを促進して依存度を減らそうというわけです。
内容としては、
採鉱、精製、リサイクルから加工および高度な材料生産まで、合衆国を拠点とするレアアースおよび重要鉱物生産への投資を奨励する包括的な税制優遇プログラム
としています。
ゴンザレス下院議員は「中国への依存の終焉が本日から始まる」と意気込みを語りました。同様の内容を持つ法案は実は上院でも提出されており、このような法案が上下院で可決されることは間違いないだろうと目されています。
中国は、大統領が変われば合衆国との対立はなんとか緩和されるのでは、と期待しているのかもしれませんが、そんなことは起こりません。合衆国の議員が共和党・民主党の枠を超え、超党派で中国に対抗しようとしているのですから。
(柏ケミカル@dcp)