中国語で「剰女」(原語は「剩女」)という言い方があって、これが中国の都市部で問題になっています。
※「剩女」の発音は「shèng nǚ」で片仮名表記にすると「シェンニュ」。
「剰女」は、直訳すると「余った女性」という意味で、主に婚姻に関する文脈で使われます。これは、結婚適齢期(一般的に20代後半から30代)を過ぎても未婚でいる女性を指す俗語で、中国の都市部で広く知られています。
読者の皆さまもご存じのとおり、中国では人口爆発に対処するため「一人っ子政策」が推進され、また儒教的な考えから「跡取りの男子」が重んじられたため、人口構成の男女比が大きく歪んでしまいました。
男性の方が過剰に多くなってしまったのです。2024年01月17日に、中国の国家統計局が公表したデータによれば、適齢期の男性の方が女性より3,000万人も多いという――異常な事態になっていることが分かりました。
しかし都市部では女性が余る――という異常事態になっています。パートナーがいない女性が増加し、これが「剰女」となります。
なぜこんなことになるかというと、女性からすると「結婚したい男性がいない」――になるのです。
中国では女性の高学歴化が進み、自分にふさわしい男性を探すと――自分より低学歴であったり、低収入であったりすると「私にふさわしい人ではない」としてオミットします。すると結婚相手が見つからず、行き遅れてしまう――というわけです。
↑人が集まる公園で結婚相手を探す「お見合い」コーナーには「釣り書」が掲げられています(後述)。
このような傾向の女性は給与も高く、仕事のある都市部に多く存在しますから、「剰女は都市部に多い」ことになります。
「剰女」という言葉には「行き遅れた」というニュアンスが含まれます。
法輪功系の歌舞いている中国語メディア『看中国』は以下のように書いています。
(前略)
分析によると、独身男性の数は女性よりも多いものの、ほとんどの高齢男性は地方に住んでおり、ほとんどの高齢女性は大都市、特に北京、上海、広州、深センなどの先進地域に住んでいる。北京には年配女性が少なくとも100万人おり、これは年配男性の4倍だ。売れ残った女性(剰女を指す:引用者注)とは通常、27歳以上でまだ独身の女性を指す。
中国には年配の女性が多いが、その原因の一つとしてパートナーに対する期待が大きすぎることが挙げられる。
多くの女性は、生涯のパートナーとして高収入で成功した男性をみつけたいと思っていますが、それができないことがよくある。
日に日に歳を重ねる彼女らの心の中にいる王子様は、一向に現れない。
しかし、挑戦しない彼女らは自らを独身に維持し、そのうちに彼女らの若さは絶望の中で少しずつ消えていくのだ。
(後略)
面白いのは、北京や上海、南京などの大都市の公園には「お見合いコーナー」があって、そこには「釣り書」が掲げられています。このお見合いコーナーを訪れるのは、本人ではなく、男性の代理人や、仲介者です。また、合コンが開催されたりもしますが、男性と女性の比率は、1:9で、明らかに女性が余っているのです。
このようなコーナー、合コンがあっても女性が気に入る男性を見つけるのは至難の業なのです。
例えば、ある36歳の剰女の条件を見てみると――、
70万元の頭金
現金で購入した家を保有していること
(住宅ローンを抱えていないこと)
50万元以上のクルマを持っていること
月給2万元以上であること
――となっています。
そもそも男性の人数の方が少ないので、このような「高い」男性はすでに片付いていると思われのですが。
――というわけで、中国ではひどいミスマッチ状況が起こっているのです。
(吉田ハンチング@dcp)