そもそも中国が公表する「経済成長率」なるものには信頼が置けないので、あまり気にしても仕方がないのですが……という話です。
先にご紹介したとおり、韓国メディアでは「ピークチャイナ」という言葉が登場するようになっています。
「中国の経済成長はすでにピークを超え、後は下り坂だ」ぐらいの意味ですが、韓国にとっても問題は、中国貿易でもうからなくなっており、以降は「中国が韓国からもうけるターン」に入るのではないかと懸念されていることです。
「あのブドウは酸っぱい」という、どこかのキツネみたいな言い草に聞こえないではありませんが、韓国らしい捨て台詞ではあります。
しかし、中国の経済成長がこの先あまり期待できない――というのは確かだと考えられています。何より、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の長期展望がよくありません。
現在、「中国のReOpening(リオープニング)」という言葉で「中国がコロナ禍から回復して世界経済によい影響を与えるのではないか」と期待が示されています。
※リオープニングは「業務再開」「新装開店」といった意味です。
『IMF』は警告する!「改革は十分ではない」
筆者などは「本当かよ」などと思う方ですが、『IMF』は2023年02月03日、「China’s Economy is Rebounding, But Reforms Are Still Needed」(中国経済は回復基調だが改革はまだ必要だ)というリポートを出しています。
例えば、以下は資料内にある中国の経済成長率の予測推移です。
2023年には、コロナ禍からのリバウンドがあるので「5%」を超えますが(正確には5.2%)、『IMF』は以降は徐々に低下して2025年には「4%」を下回ることになるだろう――と読んでいます。
『IMF』が指摘する中国経済の問題点は以下です。
それでも、中国は依然として重大な経済的課題に直面しています。
不動産セクターの縮小は依然として大きな逆風であり、コロナ禍がどうなるのかにはまだ不確実性があります。成長に対する長期的な逆風には、人口の減少と生産性の伸びの鈍化が含まれます。
(後略)
『IMF』は不動産市場の混乱について非常に大きな懸念を持っていることが分かります。
中国は反発する!「IMFの指摘は的外れだ」
02日のブリーフィングでは、中国不動産市場のハードランディングを経済の主要リスク要因に挙げ、「不動産危機を終息させ、市場基盤の構造調整を促進するための追加的措置が必要」と指摘しています。
興味深いのは、『IMF』の指摘に対して『IMF』中国の張振新(Zhang Zhenxin)理事が、
「中国経済は比較的長期にわたり中・高速成長を維持すると確信する」
と反論している点です。
また、
「不動産市場の困難と金融界に及ぼす潜在的影響を誇張するのは不適切だ」
と『IMF』の説明を猛批判しています。
中国の不動産市場が順調に運営されており、危機的状況にはない――なんて話を信じる人がいるでしょうか。
また、不動産市場の困難が金融に及ぼす影響を指摘するのは「誇張」なのだそうです。
お手並み拝見というしかありませんが、現実がマズイことになると「平気で数字を作る国」ですから、まあ失敗しても事実を糊塗するのでしょう。
韓国は「中国との付き合いをどうするか」真剣に考えないといけない時期にきました。中国と一緒に沈むのを良しとするのであれば、まあご勝手に、なのですが。
(吉田ハンチング@dcp)