韓国の半導体を支える企業といえば、『サムスン電子』と『SKハイニックス』です。
『SKハイニックス』はこれまで『サムスン電子』の後塵を拝してきたのですが、2024年の実績は『サムスン電子』よりも『SKハイニックス』の方が注目を集めています。
まず、2025年01月23日に公示された『SKハイニックス』の業績をご覧ください。
2024年第4四半期
総売上:19兆7,670億ウォン(74.8%)
営業利益:8兆827億ウォン(2,235.8%)
当期純利益:8兆64億ウォン(黒字転換)2024年通年
総売上:66兆1,929億ウォン(102.0%)
営業利益:23兆ウ4,673億ウォン(黒字転換)
当期純利益:19兆7,969ウォン(黒字転換)※( )内は対前年同期比の増減
⇒『韓国金融監督院 公示システムDART』公式サイト
ご注目いただきたいのは、2024年第4四半期の営業利益の増減です。「+2,235.8%」という凄まじい数字となっています。
2023年第4四半期と比較して、営業利益が約23.4倍になったのです。
もちろんこれは、2023年第4四半期の営業利益が「3,460億ウォン」しかなかったためです。この2024年第3四半期の営業利益率※は約3.1%です。
対前年同期比で比較すると、総売上は「+74.8%」なのに、営業利益が「+2,235.8%」にもなったのは、高利益商品を売ったことを意味しています。
AI需要で高利益を生むHBM(高帯域メモリー)の販売が伸びたものと見られます。
「約19.8兆ウォン」の総売上で、営業利益が「約8.1兆ウォン」ですから、営業利益率はなんと「約40.9%」にもなります。前記の「2023年第4四半期の営業利益率:約3.1%」とは隔絶した超好業績です。
先にご紹介したとおり、『サムスン電子』の2024年第4四半期の業績は以下のような結果で、コンセンサスを下回りました。
2024年第4四半期
総売上:75.00兆ウォン(+10.65%)
営業利益:6.50兆ウォン(+130.50%)2024年累計
総売上:300.08兆ウォン(+15.89%)
営業利益:32.73兆ウォン(+398.17%)
『サムスン電子』の第4四半期の営業利益率を計算してみると「約8.7%」です。通常の企業の営業利益率からすれば、立派な数字だといえますが、『SKハイニックス』が叩き出した「約40.9%」と比較すると、やはり雲泥の差です。
※ただし『サムスン電子』の場合は半導体だけではなく、家電やスマホなどもコミコミの業績です。
Money1でもご紹介したとおり、『サムスン電子』はHBMについて『SKハイニックス』に遅れをとっているといわれます。先行してAI需要に乗れた『SKハイニックス』は良い結果を出せたわけです。
――というわけです。少なくとも2024年第4四半期の結果を見る限り、同じ韓国を代表する半導体企業ですが、『SKハイニックス』の方が『サムスン電子』よりも優位に立っているように見えます。
「ところが」――なのです。
韓国の十八番「労働争議」でもめている
ボロ儲けの業績を叩き出した『SKハイニックス』で騒動が起こっています。
上記の超好業績が公示された2025年01月23日、『SKハイニックス』は従業員に対して基本給の1,500%(15倍)の成果給を支給すると発表。
ところが――これに労働組合が反発。
基本給の15倍の成果給なのに何が不満なんだ――なのですが、成果給の計算の仕方が一方的だというのです。
「労使の合意では、超過利益分配金の支給基準は『営業利益の10%』を原資とする、というものだったのに、それを一方的に破棄し、01月24日に振り込んでしまった」――と不満を述べているのです。
労働組合側は、「営業利益10%基準という労使合意を一方的に破棄したのは、会社の未来の成長における正当な利益分配を守るための卑劣な行為だ」と批判しています。
基本給の15倍の成果給を出しても「卑劣な行為」といわれるのです。
『SKハイニックス』のクァク・ノジョン代表取締役は、社内掲示板を通じて緊急声明を出しました。
クァク代表取締役は――、
「この決定について満足できないと感じる方や、昨年の成果に比べて不足しているとの意見があることは理解している」
「今は一丸となって新しい未来を築く時であり、労使が信頼に基づいた協力的な姿を早く取り戻すことを望んでいる」
――と述べています。
かくのごとく、韓国というのは、もうかったらもうかったで労働組合が「もっとよこせ」と叫ぶ国なのです。もうかってなくても、赤字でも「賞与をよこせ、もっとよこせ」といわれるのですが。
つくづく韓国というのは、企業経営に向かない国です。
(吉田ハンチング@dcp)