ミサイルの迎撃で大きな戦果を上げ、世界的にも注目されるイスラエルの「アイアンドーム」。
すぐ隣に北朝鮮があり、いまだ朝鮮戦争は終わっておらず休戦状態ですので、韓国は北朝鮮のミサイルを無効化するための手段が必要です。北朝鮮の火砲の射程距離内に首都がある、というのがそもそもおかしいのですが、Money1でもご紹介したとおり、韓国はかねてよりイスラエルのアイアンドームに大きな関心を示してきました。
「オレたちにもできる」とキル・チェーンの構築を企図してきました。
2025年01月20日、韓国の防衛事業庁は以下のようなリリースを出しました。「本域で開発するぞ!」という表明で、一応全文を和訳します。
↑韓国防衛事業庁のプレスリリースに掲載されている画像。「韓国版アイアンドーム」
長射程砲迎撃システムの開発が本格化– 防衛事業庁、長射程砲迎撃システムのシステム開発事業着手会議を開催 –
防衛事業庁(庁長:ソク・ジョンゴン)は01月20日(月)、国防科学研究所で「韓国版アイアンドーム」としてよく知られる「長射程砲迎撃システム」(LAMD:Low Altitude Missile Defense)のシステム開発事業着手会議を、国防科学研究所、所要軍(韓国軍の関連部門)、試作品製造企業(LIGネクスワン、ハンファエアロスペース、ハンファシステム)などの関係者が出席した中で開催した。
長射程砲迎撃システム(LAMD)は、国防科学研究所が主導で開発を進める対空兵器システムで、同時多発的に降り注ぐ北朝鮮の長射程砲の脅威から首都圏の国家および軍事重要施設を防護するための武器システムである。
防衛事業庁と国防科学研究所は、この長射程砲迎撃システムを、イスラエルがハマスとの戦争で実戦運用して高い評価を得た「アイアンドーム(Iron Dome)」よりも同時に多数の目標と交戦可能な優れた性能で開発する計画だ。
国防科学研究所は、これまで多くの防空誘導兵器システムの開発過程で蓄積したシステム統合能力、交戦制御、精密探知、追跡技術の開発経験を基に、約4,798億ウォンの予算で2028年までに長射程砲迎撃システムを開発する予定だ。
防衛事業庁誘導兵器事業部長(高位公務員:パン・グクチョル)は、
「今回の長射程砲迎撃システムのシステム開発着手は、大量の北朝鮮長射程砲の脅威から国家および軍事重要施設、そして国民の生命を守るための強固な防空能力を、私たち自身で確保するという意味がある」と述べた。
また、「長射程砲迎撃システムの早期戦力化を目指すための方策も検討中であり、国防科学研究所、所要軍、試作品製造企業などの関係者とさらに緊密に協力していく」と語った。
<以上>
イスラエルが開発・運用していてるアイアンドームよりも同時に多数の目標と交戦可能な優れた性能で開発する――と自信を見せました。「できてから言えよ」なのは、いつもの韓国軍です。
また開発予算が「約4,798億ウォン」というのも要注目ポイントです。今から造るのに、そんな金額でできるのかは疑問です。しかも完成予定が「2028年」ですから、もう3年後です。
いくら韓国がパリルパリルの国とはいえ、そんな短期間でできるのか?――です。
Money1でもご紹介したことがありますが、韓国は2021年05月12日、イスラエルとの間でFTA(自由貿易協定)が締結されています。
当時の産業通商資源部のプレスリリースには、
「イスラエルとのFTAでは、革新大国イスラエルの源泉技術と韓国の強い製造業の基盤が結合されて、グローバルバリューチェーンの構築などシナジーが発揮されることを期待してる」
と書いてあります(Money1では以下の記事で紹介しました)。
もしかして「イスラエルからパクってこよう」と思っているんじゃあるまいな――です。
(吉田ハンチング@dcp)