↑憲法裁判所での弁論に出席する尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領。
韓国・尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を内乱の首魁と規定し、逮捕まで行った高位公職者犯罪捜査処が、2025年01月23日に「あとは検察さんの手で……」と丸投げして逃げました。
↑高位公職者犯罪捜査処の庁舎に出勤する呉東雲(オ·ドンウン)処長。拘束令状まで発付してもらったくせに、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が全く調査に応じないので、拘束可能期間が切れる前に検察に丸投げして逃げました。なんということでしょう。
勉強ばかりしてきたうらなり青びょうたんは、土壇場での胆力が足らず「やっぱり何の役にも立たないな」というわけですが、これで困ったのは検察庁です。
起訴してくれといわれても、検察が捜査したわけではありません。
検察からすれば起訴するためには「起訴するに足る調査」が必要です。
そのため検察は2025年01月24日に、すでに拘束令状が発付されているのがもっけの幸いと、「拘束令状」の期間延長をソウル中央地方裁判所に請求しました。
――ところが、ソウル中央地方裁判所がこれを却下しました。
却下したのには「理由ワケ」がある!
同所は、却下の理由を以下のように述べています。
「高位公職者犯罪捜査処の検察官が高位公職者犯罪に該当する事件を捜査し、起訴要求書を添えてその書類や証拠物を検察庁の検察官に送付している。
検察庁の検察官はこれを受け取ったのであるから、検察庁の検察官が捜査を継続する十分な(かつ妥当な)理由があるとは言い難い」
つまり、拘束令状というのは、高位公職者犯罪捜査処の検察が捜査を行うために発付したものであって、それを使った調査はすでに行われ、その報告書、証拠などは検察庁側に「これで起訴してね」と渡した。
であるから、その拘束令状の期間を延長してくれ――という話は通らないだろうよ――というわけです。
ソウル中央地方裁判所の理屈はこうです。
――まず、高位公職者の犯罪を「独立した立場」で捜査するために設けられた「高位公職者犯罪捜査」ですが、その存在を成立させている「高位公職者犯罪捜査処法」です。
この法律の第26条には、捜査の公正性を確保する目的で捜査と起訴を分離する――と定めており、これは高位公職者犯罪捜査処と検察庁の両方に適用されます。
つまり、調査するのが許容されるのは高位公職者犯罪捜査処であって、検察庁は起訴するだけ。
そのため、検察庁が調査をしたいから、高位公職者犯罪捜査処に発付された拘束令状を延長してくれと要請するのは、そもそもおかしい――という理屈になるわけです。
※もう一つは、高位公職者犯罪捜査処法には「検察庁所属の検察官による補完捜査権の有無やその範囲について明確な規定がない」のです。
ここで傑作なのは、この高位公職者犯罪捜査処は、文在寅が「検察の権力を削ぐ」ために作られた組織だという点です。
文在寅は「検察改革」が持論で、その意味するところは検察庁から捜査権を奪い、警察に分配し、起訴しかできないように骨抜きにすることでした。
また、高位公職者犯罪捜査処をつくって、大統領直属の組織とし(大統領に任命権限がある)、自分が退任した後も逮捕されないようにするためのものでした(実際、現在の処長である呉東雲(オ·ドンウン)さんは文在寅によって任命されています)。
文在寅が検察の権力を削ぐためにつくった仕組みが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を追い詰めるための力を削ぐ方向で働いているのです。
まさかこうなるとは、文在寅も思ってもみなかったでしょう。
検察庁はどうする……期限切れで釈放か? それとも即時起訴か?
問題は、いつ尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の拘束令状が切れるか?――です。
卑劣なことに、拘束令状の期限がいつなのか公表されていません。
検察庁が慌てて期限の延長要請を出したのは、拘束期間が最短で25日、あるいは26日に満了する――と見ているからだと思われます。
期限延長が却下されなかった以上は、検察庁が取れる方法は2つしかありません。
1.即時起訴する。
2.期限がきたら尹錫悦(ユン・ソギョル)を釈放する。
「1」の期限が切れる前、拘束状態のママで起訴された場合、一審の審理が終わるまでの最大6カ月の間※、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は拘束されたママで事態が進行することになります。
「2」の場合、拘束令状の期限が切れたら、その時点で尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を釈放しなればなりません。
法理上からいえば、そもそも大統領は弾劾訴追されないというのが憲法上の規定です。
その例外が「内乱罪」の場合です。だからこそ、『共に民主党』は「尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は内乱罪で裁け」と主張したのです。
明らかに尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を吊るすためです。
ところが、弾劾訴追案では「内乱罪に当たる。尹錫悦(ユン・ソギョル)こそ内乱罪の首魁」と理由を述べ、国会で可決したくせに、憲法裁判所では「内乱罪については争わない」と言いました。
明らかに筋が通っていません。
その上、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の逮捕を主導した高位公職者犯罪捜査処には、内乱罪についての捜査権がない――のです。
法理が全く通っていません。
このような無茶苦茶が行われているのが「現在の韓国」で、結論はいつも同じです。早い話が「韓国というのは、法治国家ではありません」。
刑事訴訟法第92条~第92条の2項
裁判所は、被告人が逃亡の恐れがある、または証拠隠滅の恐れがある場合、拘束状態を維持することができます。
刑事訴訟法第308条:拘束期間の制限
起訴後の拘束期間は、各審級で制限が設けられています。具体的には、以下です。
1審(地裁レベル):最大6カ月
検察が被告人を起訴すると、1審裁判は最大6カ月間、被告人を拘束状態で進行することが可能です。
つまり現在の拘束令状の期限が切れる前に起訴すれば、このまま連続して拘束したママ(最大6カ月間)を維持することが可能です。
(吉田ハンチング@dcp)