2025年01月27日までに予備報告書が送付されるとのことです。
2024年12月29日に韓国の務安空港で発生した航空事故の件です。搭乗者(乗員・乗客含む)181人のうち、179人が亡くなる、いたましいとしかいいようのない悲惨な事故でした。
韓国の国土交通部・『ARAIB』(韓国航空鉄道事故調査委員会)は、アメリカ合衆国の『NTSB』(国家運輸安全委員会)・『FAA』(連邦航空局)・『Boeing(ボーイング)』社と共に共同で捜査に当たっています。
『メーデー』民は『NTSB』が登場して拍手喝さいなのですが、先にご紹介したとおり、調査に最重要の――
FDR(フライトデータレコーダー)
CVR(コクピットボイスレコーダー)
――ブラックボックスが2種類とも回収できたにもかかわらず、衝突4分前からの記録がすべて失われていたことが分かりました(2025年01月11日時点)。
FDRとCVRの両方ともに最も大事な部分の記録がないのです。そんなことがあり得るのか?――なのですが、陰謀論のように韓国当局が意図的に消した――なんて話が出ていますが、『NTSB』が参加している以上、これはあり得ないと思われます。
なぜFDRとCVRの両方ともが止まり、記録されなかったのかについて、当局による公式な説明はまだありません。
2025年01月25日、調査委は務安空港で開かれた犠牲者遺族向け説明会において――、
事故機の両エンジンから冬の渡り鳥である「가창오리(カチャンオリ)」※の羽毛と血痕が発見された。
事故機のブラックボックスであるCVRとFDRの記録が同時に中断される4分前に、カチャンオリの群れと衝突し、両エンジンが停止して、CVRとFDRの動力供給が停止したと見られる。
――と説明したとのこと。
調査委によると、ブラックボックスの記録が停止したのは、事故当日の午前08時58分50秒時点で、事故機の速度は161ノット(時速約198km)、高度は498フィート(約152メートル)。
操縦士は記録が停止した直後の午前08時58分56秒頃に、管制塔に対して鳥類衝突による緊急事態を宣言(メーデー)し、航空機を再び上昇させました。
その後、当初予定していた01番滑走路ではなく、19番滑走路に旋回して着陸を試みました。
しかし、降着装置(ランディングギア)が降りていない状態で胴体着陸。
事故機がローカライザー(滑走路方向を示す誘導装置)施設に衝突したのは午前09時2分57秒でした。
※「가창오리(カチャンオリ)」は「学名:Anas formosa」で日本語名でいうと「トモエガモ」に当たります。以下はYouTubeに上がった「カチャンオリの群舞」という動画(音声注意)。
調査委が公開した情報をまとめると以下のようになります
事故直前の状況(調査委の公開情報)
08:54:43
事故機が務安管制塔と初めて着陸に向けた交信を行う。管制塔は01番滑走路への着陸を許可。08:57:50
管制塔が事故機に「鳥類活動に注意」との情報を提供。08:58:11
操縦士が「航空機の下方に鳥がいる」と報告。08:58:50
ブラックボックス(FDR・CVR)の記録が同時に停止(速度161ノット、高度498フィート)。08:58:56
操縦士が復行中に管制塔へ鳥類衝突による緊急事態(メーデー)を宣言。約4分間
事故機は滑走路左側の上空を飛行後、滑走路19への着陸を試み右旋回。降着装置を下ろさないまま胴体着陸。09:02:57
事故機が滑走路を越えてローカライザー施設と衝突。※最終事故調査結果報告により、これらの内容および時刻は一部修正される可能性があります。
韓国の調査委は、27日までに国際民間航空機関(ICAO)および合衆国、フランス、タイなど関係国に予備報告書を送付する予定――とのこと。
FDRとCVRの両方で肝心の部分のデータがないので、最終報告が出るまでにはかなり時間がかかりそうです。
また『メーデー』民にとってうれしいことに、フランスの『BEA』(Bureau d’Enquêtes et d’Analyses pour la Sécurité de l’Aviation Civile)も調査に参加しています。
これは事故機737-800に搭載されているCFM56エンジンが、合衆国企業『GE』とフランス企業『Safran』の合弁会社『CFMインターナショナル製』であるためです。
(吉田ハンチング@dcp)