韓国経済学者の皆さんは非常な危機感をお持ちのようです。
「経済のど素人集団が政権をつかむとロクなことがない」を地でいった文在寅政権が終わりますので、その実績も踏まえて「このままではマズイ」と提言を行っています。
「韓国経済7つの課題」とは?
先の記事でご紹介した「経済学共同学術大会」が開催され、先生方がケチョンケチョンに文政権を批判しているのです。
『延世大学』のチョン・ジンウク経済学部教授が基調講演で韓国経済の7大課題について基調講演を行いました。その7つとは以下です。
韓国経済の7大課題
①生産性の向上および新産業の育成
②低出産率
③不動産市場の需給バランスと不動産価格の軟着陸
④潜在成長率の向上
⑤家計負債
⑥所得の不平等
⑦国家債務
この7つは確かに課題ですが、どれも「解決できますか?」というものです。
①生産性の向上および新産業の育成
⇒年がら年中賃上げ闘争に明け暮れる国の生産性が上がるわけはなく、新産業の育成については未知数です。
先にご紹介したとおり、これまで労働組合との戦いとは無縁だった『サムスン電子』も労使闘争に巻き込まれようとしており、この点の先行きは暗いといわざるを得ません。
②低出産率
⇒これを挽回できるとはとうてい考えられません。2020年段階で合計特殊出生率は世界最低の「0.84」。
2021年の数値は間もなく統計庁から出るはずですが「0.7台」に落ちることは確実視されています。これまでに少子化対策に投じられた資金は200兆ウォン近くになりますが、全く効果を上げませんでした。
③不動産市場の需給バランスと不動産価格の軟着陸
⇒文政権の不動産対策が全く効果を上げなかったのは需給バランスを考えない政策を打ち続けたからです。取り引き量を絞るための税制改革ばかり続けました。
不動産はバブル状態にあるといわれますが、まだ調整局面には至っていないと見られています。しかし、必ず調整局面は来ます。ソフトランディングできるものをバブルとはいいません。
④潜在成長率の向上
⇒これも絶望的です。
なぜなら、潜在成長率というのは「労働力・資本・生産性を活用して、インフレ(物価上昇)を誘発することなく、最大限に達成できる経済成長率の見通し」です。
低出産率によって生産年齢人口はすでにピークアウトし、生産性の低いことでは有名な韓国です。どのようにして潜在成長率を向上させようというのでしょうか。
⑤家計負債
⇒文政権下で家計負債は以上な速度で増加しました。今や家計負債は対GDP比で100%を超えています。
これがドボンの導火線になるのではないか、というのは経済学者も指摘するところです。いわゆる南欧型のデフォルト危機を韓国が迎える可能性は高まっています。
ここまで膨らんだものを減らすのは至難の業です。いっそのこと徳政令を出すか、と言い出すかもしれませんがこの場合政府が補てんせざるを得ず、国家債務が膨らむばかりですし、文政権が政府負債を異常なまでに膨らませたため、そのような余力はありません。
⑥所得の不平等
⇒これはそもそも大企業しか存立できないという韓国の構造に問題があります。
しかし、文政権のように大企業を目の敵にしてぎゅうぎゅう締め付けたら不平等が解消できるわけではないのです。そもそも韓国の経済発展は財閥系企業がリードして成し遂げたという過去があります。
中小企業や個人事業主が十分な利益を上げられるようにしなければならないわけで、これこそ解決が非常に難しい問題です。
⑦国家債務
⇒家計負債と同様、韓国の政府負債は文政権下で異常に増えました。2022年に対GDP比率で50%を超えるのは確実で、現在国会でもめている追加予算規模が膨らめば、政府負債はさらに拡大します。
政府与党では「対GDP比率85%までいけるんじゃないか」という意見が出ており、驚愕するほかありません。「いけるかどうか」は市場が決めます。
ハードカレンシーを持たない韓国がどこまで大丈夫かは市場が判断することです。「いけない」と市場が判断したら外国資金は抜けます。この規模が巨額になればキャピタルフライト(資本逃避)で通貨安が進行。どこかで外貨建て債務が返済できなくなってドボンです。
というわけですから、この7つの課題を解決するのはとても困難なことです。だからこそチョン教授も「マズイぞ」と提起されているのでしょう。
Money1でもずいぶん前にご紹介しましたが、韓国の夏は終わったのです。急激な人口減少と共につるべ落としのように訪れる秋と冬に備える時が来たのです。
一発大逆転があるとすれば……北朝鮮と一緒になってもう一度ビンボな状態からやり直して、二度目の夏に向かって努力する――というのはいかがでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)