2026年02月20日(現地時間)、アメリカ合衆国連邦最高裁で、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠とした相互関税の賦課は法律違反という判決が出ました。

上掲の先記事でご紹介したとおり、この判決は、
・IEEPAを根拠とした相互関税賦課は法律違反
としたものであって、逆にいえば「IEEPAが根拠でなければ可能」ということです。

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トランプ大統領・政権はカツアゲを諦めるつもりはなく、二の矢・三の矢を放つ動きに出ています。この動きは二段階で構成されています。
❶Section 122 of the Trade Act of 1974(通商法122条)を根拠とした関税15%※を賦課
❷Section 301 of the Trade Act of 1974(通商法301条)根拠とした関税賦課
※2026年02月20日時点では「10%」だったのですが、翌21日にトランプ大統領は「15%に上げる」と表明しました(2026年02月22日時点では15%は確定しておりません)。この通商法122条では賦課できる関税の法定上限は15%です。
❶は暫定措置で、いわば「つなぎ」です。深刻な国際収支問題、ドル防衛・外貨流出抑制などを理由として、一時的に輸入制限・追加関税(surcharge)を課すことができます。
これは大統領の権能で可能な措置で、IEEPAを根拠とした相互関税を取り下げざるを得なくなったので、緊急措置を講じたものと見られます。
通商法122条を根拠とした対応は、即発動可能ですが最大150日までです。
そのため❷の通商法301条※を根拠とした関税賦課を行うべく、02月20日、USTR(合衆国通商代表部)のグリア代表は「大部分の主要貿易国を対象に301条調査を開始する」と明らかにしました。
※外国の不公正な貿易慣行に対して、合衆国が対抗措置(関税など)を取る権限を規定しています。
❶の方は大統領の権限で即時発行できるのですが、❷は「調査」と「確かにその国が合衆国に対して不公正な貿易慣行を行っている」という証拠が必要なのです。
しかし通商法301条を根拠とした場合には「最大150日」という時限はありません。賦課するとした関税を恒久的にすることが可能です。
早い話が、連邦最高裁の法律違反判決を受けて、急きょ通商法121条根拠の関税賦課を行うことにし、150日の日限までに通商法第301条根拠の関税賦課に切り替えようというわけです。
合衆国は「カツアゲ」を諦めてはいません。
ただし、グリア代表が述べた「主要国に対する調査」が150日で終わるのか?――という懸念があります。普通に考えれば無理です。時間が足りなすぎます。
150日のタイムテーブル内で301条調査をすべて終えることは、事実上不可能です。
また、急きょ措置した通商法第122条を根拠とする関税賦課についても、122条の趣旨から逸脱の可能性があります。簡単にいえば再び違憲訴訟の対象になり得ます。
合衆国によるカツアゲに関するドタバタはまだ続きます。
(吉田ハンチング@dcp)




