小ネタかもしれませんが興味深いのでご紹介します。韓国政府と『韓国銀行』のやっていることがまるでちぐはぐだ、という件です。
韓国政府はさらにお金をまこうとしている!
韓国政府は現在第2次補正予算を組んで、第5次災害支援金を給付しようとしています。企画財政部の洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官は、赤字国債を発行しなくて済む「20兆ウォン」規模を主張していたのですが、(来年の大統領選挙を有利に進めたい)政府与党『共に民主党』は「30兆ウォン」以上を主張。
与党の勢いは洪長官の意見を一蹴するほど強く、恐らく給付金額は30兆ウォン台前半に落ち着くでしょう。しかし、これでまた大量のお金がばらまかれます。
『韓国銀行』はお金の吸収に動く
中央銀行の『韓国銀行』は、じゃぶじゃぶになってしまったお金の流動性を絞る方向で動いています。インフレ懸念が出てきたことから、李柱烈(イ・ジュヨル)韓銀総裁は「本年中に金利を上げる」と初めて明確に言及しました。
じゃぶじゃぶのお金を吸収しようというのです。先にご紹介したとおり、お金を吸収する役割をする「通貨安定証券」に3年物を追加するなど準備を始めています。
「お金まくぞ!」「お金を吸収するぞ」
つまり、韓国政府は「お金をまくぞ!」とさらに流動性を拡大する方向で動いており、『韓国銀行』は「お金を吸収するぞ!」と流動性を絞る方向で動いています。
ちぐはぐですね。
この方針の乖離については韓国メディアでも「なんだかおかしくないか」と疑問を呈しています。例えば『中央日報(日本語版)』では以下のように書いています。
それでも韓銀が利上げに踏み切るのは流動性が限界状況に達しているからだ。しかし政府は第2次補正予算を編成して30兆ウォン以上の資金を供給するという。
与党・共に民主党はその間、全国民に災難支援金を給付しようと主張してきた。
米国など世界主要国が市中の流動性を回収している中、韓国はインフレ懸念と利上げの動きにもかかわらず、大統領選挙で票を獲得するために現金をさらにばらまこうという姿だ。
(後略)
⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「【社説】過剰な流動性を減らすには利上げが避けられない=韓国」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
『韓国銀行』に対しては、政府の方針に水をさすものといった批判も出ているようですが、『韓国銀行』からすれば「票を買う目的ならやめてくれよ」と言いたいのではないでしょうか。
また、たとえばらまきを行っても現与党が次期大統領選挙で勝てるとは限りません。実際、ソウル・釜山市長選挙では、新国際空港を造るなど大盤振る舞いを約束したのに惨敗したわけですから。
(吉田ハンチング@dcp)