韓国政府与党が強硬に通過させようとしている「言論仲裁および被害救済法の改正」は、報道の自由を規制しようとする内容が盛り込まれています。
そのため、メディア規制法という呼び方もされ、韓国の識者・マスコミから大反対の声が上がっているのです。
韓国メディアは、アメリカ合衆国国務省から圧力をかけてもらおうと目論んだようで、2021年08月10日の記者ブリーフィングでこの件についての質問が行われています。
以下がその引用です。記者とプライス報道官のやりとりです。
QUESTION:
— I have a question for – so I have two questions. First one is State Department’s willingness to promote freedom of the press outside the United States. So South Korea’s Moon government and the ruling party is pushing a new law that obliges media outlets to pay punitive damages for spreading fake news. And as you have seen in the United States, labeling critical news stories as fake news is a typical way of attempting to stifle criticism. So South Korean journalist associations expresses deep concern.質問
質問がありますので――2つ質問します。まず1つ目は、合衆国外で報道の自由を促進する国務省の姿勢についてです。
韓国の文在寅政権と与党は、フェイクニュースを流したメディアに懲罰的損害賠償を義務付ける新法を推進しています。
合衆国でも見られるように、批判的なニュースにフェイクニュースというレッテルを貼ることは、批判を封じ込めようとする典型的な手法です。
そのため、韓国のジャーナリスト協会は深い懸念を表明しています。
And so my question is: I understand Biden administration wants to show unity between the allies, but as the administration promotes freedom of the press and liberal democracy in the world, will the administration acquiesce this undermining of democratic values just to avoid presenting split between the allies? And if not, can you share State Department’s plan to address this issue with South Korean counterparts?
そこで質問です。
バイデン政権は同盟国間の結束を示したいと考えているようですが、世界で報道の自由と自由民主主義を推進している政権として、同盟国間の分裂を示すことを避けるために、民主主義の価値を損なう行為を黙認するのでしょうか。
もしそうでないなら、国務省がこの問題に対処するための計画を韓国の担当者と共有していただけますか?
MR PRICE:
Well, I don’t have a specific reaction to offer on this particular development, but I will say, broadly, freedom of the press, freedom of expression is a value that the United States supports the world over. And we’ve demonstrated that in the context of the Republic of Korea. When Secretary Blinken was in Seoul and he, of course, visited Tokyo and Seoul on his first physical travel overseas, we met with – he met with a number of emerging South Korean journalists – that is to say, young journalists working for some of the country’s biggest outlets – to affirm this – these enduring values and enduring principles that we share with our like-minded allies and partners. And so freedom of expression is something that we continue to stand for and will stand for in that context and every context.プライス報道官
大まかに言えば、報道の自由や表現の自由は、合衆国が世界中で支持している価値観です。このことは、韓国でも実証されています。
ブリンケン国務長官が初の海外出張で東京とソウルを訪問した際には、韓国の若手ジャーナリスト、つまり韓国の大手メディアで活躍する若いジャーナリストたちと面会し、志を同じくする同盟国やパートナーと共有している永続的な価値観や原則を確認しました。
表現の自由は、私たちがこれからも支持していくものであり、あらゆる状況において支持していくものでもあります。
QUESTION:
So you want to avoid the specific – this mentioning about this development, but do you think there will be a private diplomatic discussion about this issue?質問
この問題に関する具体的な言及は避けたいとのことですが、この問題について内密に外交的な話し合いが行われると思いますか?MR PRICE:
I wouldn’t want to wade into what may or may not be conveyed privately.プライス報道官
内密に伝えられるかどうか、分からないことに言及したくありません。⇒参照・引用元:『アメリカ合衆国 国務省』公式サイト「Department Press Briefing – August 10, 2021」
プライス報道官の回答は一般論に終始しており、そもそも韓国内の立法の問題ですので、合衆国は踏み込むつもりはないようです。
しかし、これが韓国メディア『朝鮮日報(日本語版)』の記事になると「米国が韓国の言論仲裁法改正案に関して持っている見解を、外交チャンネルを通じて韓国に伝えたり、非公開で話し合ったりする可能性について余地を残したものと解釈されている」となっています(2021年08月12日付け記事)。
そうでしょうか?
上掲のとおり、合衆国国務省のブリーフィングペーパーを見る限りは、門前払い、「知らんがな」という態度に見えるのですが……。
国内の問題を解決するのに外圧を利用しようという態度は、実に韓国らしいといえます。
決して非難しているわけではありません。大なり小なりどの国でもあることです。ただ、韓国の場合それが多いように思えます。日本が「言いつけ外交」と呼ぶのはこのような姿勢ですから。
(吉田ハンチング@dcp)