組み立て屋、あるいは加工屋のツライところは、通貨安になると原材料、中間財の輸入価格が上昇し、それが製品価格に転嫁できない場合、ストレートに利益が減少するという点です。
これは、ウォン安が急進している韓国にそのまま当てはまります。
つまり、通貨安になると、製品の価格戦闘力が増すからいいよね――というのは必ずしも正しくないのです。
韓国が最近誇る「K-フード」(海苔やラーメンなど)、「K-ビューティー」(化粧品など)についても、通貨安で危なくなってきたぞ――という話が出ています。『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引きます。
化粧品メーカーA社は最近、ヨーロッパや東南アジアなどから輸入する原材料・部品の在庫を全数調査しました。
年初に比べて為替レートが10%以上上昇したため、追加で原材料を発注せず、現在の在庫でどれだけ持ちこたえられるかを確認するためです。
この会社の関係者は「営業利益率が10%にも満たないのに、為替レートの上昇で全て吹き飛びそうだ」とし、「為替レートが上がれば輸出企業は良いのではないかと言われるが、それは内情を知らない意見だ」と話しました。
(後略)⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「잘나가던 K뷰티·K푸드가 떨고 있다」
「為替レートが上がれば輸出企業は良いのではないかと言われるが、それは内情を知らない意見だ」が全てを物語っています。韓国のK-フード、K-ビューティーが大きな影響を受けるのは、製品価格が安いもの――であるせいもあります。
さらに以下の部分です。
(前略)
今年01~11月の韓国の化粧品輸出額は93億ドル(約13兆5,000億ウォン)と集計された。過去最高値である2021年全体の輸出額92億ドルをすでに上回っている。
今年11月末基準の農食品輸出累計額(暫定)は、前年同期比8.1%増の90億4800万ドル(約13兆1200億ウォン)を記録した。
Kフードの主要商品であり、
輸出上位品目であるラーメン(11億3,800万ドル)、
菓子類(7億600万ドル)、
飲料類(6億900万ドル)、
コーヒー調合製品(3億400万ドル)、
米加工食品(2億7,500万ドル)などは過去最高の実績を出した。
しかし最近、食品、化粧品業界は暗い雰囲気だ。
‘K全盛時代’が持続できるのかという懐疑的な反応まで出ている。
原材料・副資材の輸入比率が高い食品業界と化粧品業界が最も懸念しているのは、高為替レート(ウォン安)の長期化だ。
通常、ドルに対してウォンの価値が下がれば、輸出品の価格競争力が高まる。
しかし、これは両業界に適用されない公式だという反応だ。
食品業界の関係者は「Kフードの最前線で活躍しているラーメン、菓子などは原材料の70%を輸入に依存している」とし「原材料の輸入負担が増えれば、製造原価自体が高くなり、輸出で得た利益が減ることになる」と話した。
化粧品メーカーの関係者は、「高級原料はヨーロッパから、残りの原料は東南アジアから輸入している」とし、「高為替レートが長期化すれば、原・副資材を大量に保有している一部の大企業を除けば、業績悪化は避けられない」と話した。
(後略)
「K-全盛時代」という新たなパワーワードが登場して驚きますが、「食品、化粧品業界は暗い雰囲気」は傑作です。
韓国は政府も含めて、K-ビューティ、K-フードの輸出が好調といっていきましたが、ウォン安が急進したので、ウォン安が長期化した場合には、業績の悪化が避けられない――と嘆いているのです。
「ラーメンと海苔とK-POP」も大変です。
(吉田ハンチング@dcp)