韓国「日本企業め、円安の恩恵を享受しているぞ」

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「気付かれたか」という話です。

自国通貨を安値に誘導することは「周辺国窮乏策」といわれたりします。韓国もウォン安となっていますが、日本円もバブルが崩壊する前の水準にまで安くなりました。

円安が進行していることについて、韓国では「日本発の金融危機があり得る」「円安で日本はパニック」などと起こり得ないことを報じていました。しかし、ここにきて「日本企業は円安で利益を上げているのではないか」と気付いたようです。

円安で日本は困っているのか?

日本メディアでは「日本円が安くなっても、かつてのように輸出が伸びたりはしない。なぜなら現地生産が進んでいるから」などといわれるわけですが、果たしてそうでしょうか。

先にご紹介したデータを再度貼ってみます。国際収支統計から「貿易収支」の「輸出」部分だけを切り出し、「対前年同月比の増減」をプロットしたものです。


↑日本の国際収支統計は2022年09月分までしか公表されていません。

上掲のとおり、日本の輸出金額は2022年09月まで2021年の実績を上回り続けていいます。

直近の09月はとうとう2021年09月の「27.5%増し」となりました。日本人はドルを使って暮らしているのではありません。円建てでの輸出金額はこのようにマシマシできているのです。

また、海外に投資した分の配当や利払い(国際収支統計では第1次所得収支に計上される)を受ける日本は、円安になった方が金額が膨らみます。

同様に、2022年の「国際収支統計の第1次所得収支」が「対前年同月」でどのように推移しているか見てみましょう。以下です。


⇒データ出典:『日本国 財務省』公式サイト「国際収支の推移」

上掲のとおり、第1次所得収支も2021年に比べてプラスで回っており、09月には「プラス37.9%」となっています。

韓国メディアの皆さんはガッカリするかもしれませんが、日本では「パニック」などとはまるで違った景色が広がっているのです。

「日本め、うまいことやりやがって」という話

韓国メディア『韓国日報』の記事から一部を以下に引用してみます。「『円安で大変だ』…日本企業の為替差益でむしろ利益増加」というタイトルの記事です。

日本上場企業が去る第2四半期(07~09月)「円安」に支えられ、大幅な利益を記録したことが分かった。

これまで多くの企業が輸入物価の上昇に伴うコスト増加など「円安苦痛」を訴えてきたが、実際には莫大な為替差益を得るなど円安効果を享受していたのだ。

(中略)

円安のおかげでドルで稼いだ海外輸入の円換算利益が大幅に増加すると、多くの企業が今年実績見通しを上げたのだ。

海外事業を積極的に繰り広げる総合商社などが特に為替差益を大きく得た。

大企業上司7社のうち6社が第2四半期に歴代最大純利益を記録した。『三菱商事』は日本総合商社のうち初めて純利益が1兆円を超えると見込まれる。

『野村証券』は、ドル当たり円安が1円下がれば、主要企業の年間経常利益は0.3%上昇すると推定した。

2021年度の日本上場企業の経常利益(71兆円)を基準にすると、円安1円下落時に年間2,000億円利益が増える。

今年上半期(04~09月)の平均で円安は1年前に比べ24円も下落した。円安効果だけで今年の日本上場企業の利益が5兆円近く増え得るという意味だ。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国日報』「『円安で大変だ』…日本企業の為替差益でむしろ利益増加」

というわけで、なんだか「日本め、うまいことやりやがって」というような書きようではありますが、円安によって日本は利益も享受しています。

日本の場合は、輸出だけで食べているのではないという点が韓国とは全く違います。

日本も(輸出が伸びているものの)貿易収支は赤字です。資源価格の高騰によって輸入金額が急増したためです。しかし、日本の場合には海外からの所得が急増し、そのため経常収支が赤転していません。

ところが韓国の場合には、貿易収支が赤転すると、たちまち「もういけない」となるのです。

「ウォン安になれば韓国はもうかるはず」という定式が崩れた点に、今回の韓国経済のドタバタの根本があります。しかし、これはウォン安というよりも「ドル強」と認識しなければならないわけで、その意味では『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁の言葉は正鵠を射ていたことになります。

もっとも、だからといって「韓国経済がピンチではないか」というと……全然大丈夫ではありません。

(吉田ハンチング@dcp)

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