中国『BYD』工場で「給与半減」に怒り!労働者が大規模な抗議活動! 「もっと働かせてくれ」

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中国の電気自動車メーカー『BYD』は『Tesla(テスラ)』を抜いて世界一の電気自動車メーカーになった――と喧伝しています。

とんでもない話です。

日本の識者の皆さんの中にも「中国企業マンセー」を唱えるノータリンがいますが、この人たちの方が事実を見ていません。

中国は韓国を下回る不景気のどん底。

企業がもうかっているなら、給与も増えて従業員(国民)を豊かにしていくのが普通ですし、そうでなければ「明日を心配しないで暮らせる人」は増えません。

しかし事実は逆で、中国企業は給与を削減して、コストカットに勤しんでいます。

理由は簡単です。安値の叩き合いで儲からないからです。だから企業を存続させるためにコストをカットに励むのです。とんだ世界的企業があったものです。

2025年03月28日~31日、『BYD(比亜迪)』の工場で従業員が大規模な抗議活動を展開しました。

「もっと働かせてくれ!」という抗議活動

まずは無錫市の工場です。


↑中国・無錫の『BYD』工場で労働者の皆さんの抗議活動が展開。

無錫市といえば、韓国『SKハイニックス』のファウンドリーもここにあります。

今回抗議活動が起こった『BYD』の工場は、ちょっと興味深い履歴です。もともとはアメリカ合衆国の『Jabil』という多国籍企業傘下の『グリーンポイントテクノロジー』の工場でした。

日本では一般に知られていないかもしれませんが、この『Jabil』は、電子回路基板の設計、エンジニアリング、製造、およびサプライチェーン管理サービスを提供し、主にオリジナル機器メーカー(OEM)を顧客としています。

同社は、世界25か国以上に100以上の拠点を持ち、約14万人の従業員を擁する――というものでした。この無錫工場を『BYD』が2023年09月に買収したのです。

ここで『Jabil』グループは、撤退するに当たり――、

『BYD』で働くことを希望しない従業員には補償金を支払いますので自主退職してください

――という約束の下、巨額の補償金を準備しました。

工場に勤務していた従業員の皆さんは、「最低18カ月間は給与・福利厚生・職位の変更はない」という『BYD』の条件を信じ、『Jabil』グループからの補償金の受け取りを放棄して、『BYD』に残る決断をしました。

これが運の尽きでした。

ところが、『BYD』は『BYD』はこの条件を守らず、2024年05月に「週5日・1日8時間」の勤務制度を導入しました。

週休2日で1日8時間労働だからいいじゃないか――と思われるかもしれませんが、結果どうなったかというと、工場で働く皆さんの給与が激減した――とのこと。

以前は、

1日12時間の2交代制、週1日休み

という体制でした。

ところが勤務体制が「週5日・1日8時間」になった後は、月給は2,490元(約5万円)にまで落ち込みました。

かつては5,000〜6,000元(約10〜12万円)あったのに、ほぼ半額になったわけです。

まとめるなら、工場労働者の皆さんは長時間労働をして生活が成り立つ――という構造だったわけです。

また、『BYD』は成果給を削減し、職務変更や職位の降格などの手段を通じて、給与をさらに引き下げようと画策。

このような動きに反対して(03月14日に)抗議した労働者が警察によって5日間拘束される事態になり、ついに工場の皆さんの怒りが頂点に達した――という次第です。

以前からご紹介しているとおり、中国当局は「黄巾の乱」に発展して中国共産党が打倒されるような事態を何よりも恐れています。そのため、抗議活動が大規模に発生するようなことがあれば、警察要員や特警を投入して制圧にかかるのです。

さらに、『Jabli』が用意した「従業員への補償金」を『BYD』が着服したのではないか――という疑惑ももたれています。金額は「100億元」ですので、日本円で「2,000億円」を超えます。

タイミングは微妙ですが、18カ月は労働条件は変わらない――が守られなかったとすれば、労働者が怒っても無理ないでしょう。

労働者の中からは「こんななら補償金もらって辞めるわ」という声も上がっており、03月28・29日には千人を超える労働者が工場内に集まり、給与の無断引き下げに対する抗議活動を行った――というわけです。

成都の『BYD』工場でも抗議活動!

さらに成都工場でも大規模な争議が起きました。こちらは2025年03月31日に発生です。


↑こちらは成都の『BYD』工場で労働者の皆さんの抗議活動。

一部抗議活動参加者は、『Jabli』が用意していた補償金が約100億元に上ることを指摘。「それだけあれば不満を持つすべての従業員に十分な補償ができるはずなのに、会社は行っていない」と非難しました。

また、『BYD』の成都工場ではこの1年間にわたり、職務の変更、輪番での休暇制の導入、他拠点への派遣、成果報酬の削減などを繰り返し、従業員の待遇と収入をどんどん引き下げたと指摘しています。

これらの要求、指摘に対して『BYD』は公式にはだんまりを続けているのです。

「もっと残業させてくれ」という要求がちょっとだいぶ変わっていますが、そうでもしないと暮らせるだけの給与がもらえない――というヘンな話ではあります。

『BYD』は海外でもやらかしている!

日本には『BYD』を褒めるノータリンな識者がいますが、この会社はロクなものではありません。

2024年09月にはベトナムの『BYD』工場で、500人を超える労働者の皆さんがストライキを起こしました。低賃金、過酷な残業、食事の質が悪い、夜勤手当の未払い、意図的な成果給の削減、基本給が他工場より低いといった点が理由です。

Money1でもご紹介したとおり、2024年12月、ブラジル労働当局は、『BYD』がバイーア州の工場建設現場で163人の中国人労働者を「奴隷労働」のような状態で働かせていたと公表しました。

強制労働で過剰労働、劣悪極まりない労働・生活環境、パスポートを取り上げるなど労働者の自由の制限などが確認され、当局は工事現場を封鎖。労働環境の改善を命令するに至りました。

電気自動車の出荷台数世界一になったのかもしれませんが、このようなロクでもない中国企業を見習うべきなのでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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