中国の石油備蓄量はどのくらいあるのかは気になるところです。
しかし、中国政府はそのデータを公表していはいません。
中国政府が公開した「在庫量」の確定値として確認できるのは、2014年11月公表の第1期国家石油備蓄。
国家能源局掲載の国家統計局情報によれば、舟山・鎮海・大連・黄島の4基地で原油1,243万トンを備蓄――となっています。国家統計局は2015年年央時点で、8つの国家石油備蓄基地、総庫容2,860万立方メートル、実際の備蓄原油2,610万トンと公表しました。
この後の中国政府の公開はかなり不透明です。
『Reuters(ロイター)』は2025年10月、中国政府による最後の公開は2017年で、国家統計局が「9基地・総能力2.38億バレル」としていた――と報じています。
また2026年03月の次期エネルギー計画では、中国は国家石油備蓄の拡大を続ける方針を示したものの、数量は明示していません。
つまり、政府の公式資料だけでは2026年03月時点の総備蓄量を確定できない、というのが本当のところです。
直近では、『Reuters(ロイター)』が報じた(2025年10月07日付け報道)の推計があります。重要なのは以下です。
『Kpler』は、中国の陸上の国家備蓄および商業備蓄(国有企業・民間企業を含む)の合計を、2025年09月初め時点で7億9,900万バレルと推計している。これは2023年初めより1億900万バレル増である。
『Vortexa』は、製油所の在庫を含む国有企業管理の備蓄を7億3,500万バレルと推定しており、同期間で7,300万バレル増加したとした。
これら民間推計には、『Reuters(ロイター)』が2021年に報じた地下型SPR施設4カ所(容量1億1,000万バレル)に保管されている石油は含まれていない。
地下型SPR施設4カ所に保管されている分も足し込むと、約9億バレルという推計になるわけです。
※『Kpler』は、世界のエネルギーおよび商品市場におけるリアルタイム貿易インテリジェンスを提供するベルギー拠点のデータ分析企業です。2014年創業。
※『Vortexa』は、石油・天然ガスなどエネルギー商品の輸送・在庫・取引を分析するデータ会社です。創業は2016年。
さらに最近の2026年03月10日付けの『ニューヨーク・タイムズ(International New York Times)』の記事は以下のように書いています。
(前略)
市場調査会社『Kpler』のSenior Crude Oil Analyst(シニア原油アナリスト)であるMuyu Xu(徐慕宇)氏は、政府の優先事項は燃料供給の安定確保であり、「製油所に燃料輸出の停止を指示したり、原油備蓄を製油所に貸与したり放出したりする可能性がある」
と述べた。
Muyu Xu(徐慕宇)氏によると、中国は戦略備蓄のために過去1年間、石油購入を増やしてきた。
その備蓄はおよそ12億バレルに達しており、これは中国の海上輸送原油輸入量の約115日分に相当する。
(後略)⇒参照・引用元:『International New York Times』「China stockpiled more oil before war broke out in Iran」
Muyu Xu(徐慕宇)さんは『Kpler』の公式サイトで以下のように紹介されています。『Reuters(ロイター)』にいた人のようです。
徐慕宇(Muyu Xu)
シニア原油アナリスト徐慕宇は『Kpler』のシニア原油アナリストである。
彼女はその役割において、主としてアジア市場における原油のフロー(流通動向)と市場のファンダメンタルズに焦点を当てており、また同僚のアナリストたちと緊密に協力して、世界の石油市場に関する包括的な分析および調査を提供している。
Kplerに今年3月初めに加わる前、徐はロイター北京支局およびシンガポール支局で7年半にわたりコモディティーおよびエネルギー担当記者として勤務し、鉄鉱石、石炭、電力、環境、石油を含む幅広い分野を取材していた。
徐慕宇(Muyu Xu)さんの分析が正しいのであれば、中国の戦略備蓄は約12億バレルで、中国の海上輸送原油輸入量の約115日分です。
※もちろん分析は各社・アナリスト・メディアによって異なります。
この分析はあくまでも輸入量の何日分が備蓄されているかです。では、実際の需要、消費はどのくらいなのでしょうか。
『IEA』(国際エネルギー機関)、『EIA』(合衆国エネルギー情報局)、『OPEC』(石油輸出国機構)がそれぞれ推計を出していますが、数字はほぼ一致しています。
中国の石油需要は「約16 million b/d」、つまり「1日当たり約1,600万バレル」です。
12億バレルの戦略備蓄があったとして、どのくらいもつかといえば、需要基準で「約75日」ということになります。
(吉田ハンチング@dcp)






