2025年01月21日、韓国の崔相穆(チェ・サンモク)大統領代行※は国務会議を主宰し、
「放送法」改正案
「初等・中等教育法」改正案
「反人権的国家犯罪の時効などに関する特例法」
の3つの法案について、拒否権を発動することに決めました。
※韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理(首相に相当)が弾劾訴追で職務停止になったので大統領代行となりましたが、この人は副首相兼企画財政部長官です。
この3法案については、国会における再審議となります。
国会で再可決するには出席国会議員の2/3の賛成がいりますので、『国民の力』議員がみんなで反対すればめでたく廃案です。
では、この3つの法案はどんな内容なのか、いかに駄目な法案なのかを確認してみましょう。
遡及法まである! 韓国は法治国家ではない!
それぞれの法案と内容と問題点を以下に挙げます。
●放送法改正案
内容:
韓国放送公社(KBS)と韓国教育放送公社(EBS)の財源となるテレビ受信料を電気料金と統合して徴収する内容を含む。問題点:
受信料の分離徴収制度は2024年07月から施行され、すでに1500万世帯で分離納付が行われているのに、また元に戻そうという混乱を招くような中身である。●初等・中等教育法改正案
内容:人工知能(AI)デジタル教科書を正式な教科用図書ではなく、教育資料として位置づけることで、教育現場でのAI教科書の使用を制限する内容。問題点:教科書ではないと規定することで、AI技術を活用した先進的な教育手法の導入を妨げ、生徒の学習機会を制限する可能性がある。
●反人権的国家犯罪の時効などに関する特例法
内容:
捜査機関の証拠捏造や職権乱用などを反人権的国家犯罪と規定し、これらに対する公訴時効を適用しない内容を含む。問題点:
この特例法が法的安定性を損ない、過去の事件に対する無制限の訴追を可能にすることで、社会的混乱を招く恐れがある。
特にご注目いただきたいのは、最後の「反人権的国家犯罪の時効などに関する特例法」です。
「千年でも恨んでやる」「いつまでも謝罪と賠償を要求する」という韓国の情に即したような内容で、近代法の精神に反するようなものとなっています。
崔大統領代行は、「この法律がそのまま施行されれば、憲法上の基本原則である過剰禁止の原則に反し、民生犯罪への対応に空白が生じる懸念が大きい」と説明。
また、「殺人、拷問、強姦などの重大犯罪について公訴時効を適用除外するのは妥当かもしれないが、『公務員の職権乱用』について同じ扱いをすることは、適法に職務を遂行した公務員やその遺族まで無期限に民事訴訟や刑事告訴、告発にさらされる可能性がある」と指摘。
「例えば、犯罪者が刑罰を受けてから30年が経過した後に、自分を捜査した警察官が捜査過程で職権を乱用したと一方的に主張し、すでに亡くなった警察官の子供や孫に損害賠償訴訟を提起することもあり得る」と具体的に説明しました。
いやむしろ、「30年が経過した後に……一方的に主張し……子供や孫に損害賠償訴訟を提起する」ことができるように制定しようとしているのではないでしょうか?
このような法案は近代法の精神に背くものであり、すでに一度は国会で通過しているということ自体が法治国家とはいえません。
『共に民主党』は「いつまでも処罰できる」法律を通そうとしているのです。これこそ「違憲」というものではないでしょうか。
崔大統領代行は今回の拒否権発動について、
「先週に続き、今日の国務会議でも再議要求権を行使することとなり、国会および国民に大変申し訳なく思っている」
「国家と国民に対する政府の衷心よりの姿勢を理解していただき、広い視野において国会の協力を重ねてお願いしたい」
と述べました。
崔相穆(チェ・サンモク)大統領代行はなかなかやります。さあこれで『共に民主党』がまた「弾劾だ!」と言い出すかどうかです。
(吉田ハンチング@dcp)