この新型コロナウイルス騒動で経済が危機的状況になっている韓国ですが、景気のいい話がありました。
カタールから液化天然ガス(LNG)運搬船100隻の製造を受注したのです。まさに特需です。
カタールは産油国として有名ですが、2019年にOPEC(Organization of the Petroleum Exporting Countriesの略:石油輸出国機構)から脱退するなど、近年では天然ガスに注力しています。
実は、カタールは年間7,500万トンもの液化天然ガス(LNG)を輸出しており、これはオーストラリアに次いで世界第2位です(2019年実績)。カタールでは生産量をさらに増やす予定で、その運搬船を大量に保有する計画を立ていました。
これを韓国が見事に射止め、韓国メディアは「造船大国・韓国大勝利!」と大きく報道したのですが……。
フランスが韓国から利益を吸い上げる
……これがまた見事に「実はフランスの鵜(う)」になっていたのです。
そのことを指摘する記事が2020年06月03日韓国メディア『韓国経済』に出ました。以下に同記事から一部を引用します。
韓国が、カタールから液化天然ガス(LNG)船100隻を受注したというニュースにジャックポットを決めた外国企業がある。
LNG貨物タンクの源泉技術を保有しているフランスのGTTだ。
LNG船が一隻建造されるたびに、国内造船会社からロイヤリティー支払いで100億ウォンを受けることになる。
予定どおりカタールに100隻を納入すると1兆ウォンが抜けていくことになる。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「LNG船の受注ジャックポット歓喜の声の後ろで…フランスから『1兆ウォンの請求』が飛んでくる」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
同記事によれば、韓国の造船企業はLNG船を1隻建造するごとにフランスのGTT社に「5%」のロイヤリティー(特許の使用料)を支払わなければならないとのこと。
また、この5%は1隻建造して残る収益(5~7%)とほぼ同じだというのです。LNG運搬船1隻造ってそれだけしか利益が残らないの?と驚くような薄利です。
今回、カタール国営石油会社、カタール・ペトロリアム(QP)と「23兆ウォン規模で100隻」の契約を結んだとのことですから、その5%でフランスのGTT社への支払いは「1兆1,500億ウォン」(日本円で約1,047億円※)になります。
ロイヤリティーの支払いが収益とトントンだとしたら、この受注はいったい何なのでしょうか。いや、もちろん造船業に携わる人の雇用を保護するという意味はあるにしても、です。
韓国は知的財産の少ない国である
先にもご紹介したことがありますが、韓国は「知的財産の少ない国」です。
今回の「LNG船100隻を受注したのに……」みたいなことが起こるのは、独自の「特許」を持っていないからです。
世界各国で使用される「特許」や「コンテンツ」があれば、海外から「知的財産」の使用料が入ってきて、国の大きな収入になるのですが。
国際収支統計を見ると、韓国は「知的財産等の使用料」の収支で黒字になったことがありません。知的財産等の使用料を海外に支払う方が多いのです。
上掲がそのグラフですが、ご覧のとおり40年間一度も黒字になったことはなく、ずっと赤字です。
ことほどさように、韓国の製造業は「知的財産使用料」を大量に支払って成立しているのです。まあ少し気の毒ではありますが、だからといって「パクっていい」ことにはなりません。
※円への換算は2020年05月06日の「1ウォン=0.091円」を用いました。
(柏ケミカル@dcp)