先にご紹介したとおり、ドル強が弱まっており、円も通貨高方向に動いています。
↑ドルの強さを示す「DXY」のチャートです。ご覧のとおりドルの強さは弱まっています(チャートは『Investing.com』より引用)。
そんな中、韓国のウォンは通貨安傾向が続いており、中国語メディアにすら「最も弱い」と書かれるほどに注目を集めています。
Money1でも先にご紹介したとおり、最も弱い――は(ほとんど)ウソではありません。
なぜここまでウォンが弱いのかについて韓国メディア『ソウル経済』が面白い記事を出しています。「世界で最も弱い通貨となったウォン…反転の兆しなく『真っ暗』」というタイトルです。同記事から一部を以下に引用します。
ドナルド・トランプ大統領の就任以降、米ドルは明確な下落傾向を示しているにもかかわらず、韓国ウォンだけが極端に弱い状態が続いている。
政治的不確実性と内需の低迷が続く中、韓国経済の下振れ圧力が増大しており、さらに合衆国発の関税リスクに脆弱な経済構造が浮き彫りになっているため、ウォンだけが低迷しているとの評価が出ている。
また、円やユーロとは異なり、ウォン高を支える明確な材料がないことも、ウォン安基調の継続を予想する要因となっている。
(中略)
専門家は、ウォンがドル安にもかかわらず反発できない主な理由として「関税不確実性」を指摘している。
韓国経済は輸出依存度が高いため、合衆国の関税リスクに対して特に脆弱であり、このため外国投資家の目線では韓国資産に対する評価が低くならざるを得ないというのだ。
『イファ女子大学』のユン・ジェホ経済学教授は、
「韓国は特に輸出依存度が高いため、合衆国の関税リスクに大きくさらされている」
「他の国は内需によってある程度リスクを相殺できるが、韓国にはそれができない」と指摘している。
実際に、トランプ大統領が就任直後に関税をターゲットにした国々の通貨動向を見ると、
カナダドル(-0.37%)を除き、人民元(+0.61%)、メキシコペソ(+1.13%)はむしろ上昇している。
これは、外国人投資家が韓国を合衆国の貿易政策の最大の犠牲者と見なしている可能性を示唆している。
景気下降の懸念に韓国証券市場で外国人が大挙離脱するのもウォン価値の下落傾向を高める要素だ。
(後略)
最後の「外国人が大挙離脱するのもウォン価値の下落傾向を高める要素」というのは、市場から離脱する際には、証券を売却してウォンを手に入れ、これを外貨に替えて去っていくからです。このウォン売りドル買いがウォン安を進行させます。
ウォンが下げ止まらない(ウォン安のままでとどまっている)のは、同記事は「韓国には通貨価値を支える材料がないため、ドルが下落してもドルウォンレートがそれに追随する力は弱い」と結論付けています。
正鵠を射ているでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)