2025年12月05日、『韓国銀行』が2025年10月の国際収支統計を公表しました。
2025年10月
貿易収支:78億1,730万ドル
サービス収支:-37億5,170万ドル
第1次所得収支:29億4,250万ドル
第2次所得収支:-1億9,430万ドル
経常収支(上記4つの合計):68億1,380万ドル⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
当月ご注目いただきたいのは、貿易収支が「78億1,730万ドル」まで縮小したことです。
貿易収支が急減した!
2025年01~10月の貿易収支の推移を見ると以下のようになります。
※『ECOS』のデータからグラフ化
前月09月には「142.1億ドル」もあった貿易収支が半減まではいきませんが――約45.1%も減りました。
これは秋夕の連休の影響(旧暦での祝日なので毎年ずれる)、およびアメリカ合衆国のトランプ関税のショックが重なったものと思われます(09月 ⇒ 10月で輸出が113億8,800万ドルも減少した)。
当月は金融収支の方が面白いです。まず直接投資。

直接投資の負債の部は「2025年10月:1億5,010万ドル」しかありません。
負債の部は外国から韓国へのキャッシュインを示していますので、韓国への投資が急減していることを示しています。
証券投資が2024年の1.6倍「1,171億ドル」キャッシュアウトだぞコレ
次に証券投資。

証券投資の資産の部を見てみると、2025年10月は「172億7,480万ドル」も計上されています。
資産の部ですので、韓国から外国へのキャッシュアウトを示しています(韓国からキャッシュアウトして外国証券の資産が増えた)。
驚くのは、2025年01~10月累計で「1,171億2,110万ドル」にもなることです。
その分、外国証券の資産が増加したのですが、これは無茶苦茶なキャッシュアウトです。
どのくらい無茶苦茶か、以下の年次データを見てください。

2024年は1年間で「722.5億ドル」なのに、2025年は01~10月累計で「1,171.2億ドル」。10カ月で昨年の1.62倍です。
外国への巨額投資がウォン安を進行させる
ここで思い出していいただきたいのは、『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁の「海外投資による外貨流出がウォン安の主要因の一つ」という発言です。
「ウォン売り・ドル買い」⇒ 海外投資という流れが大きいので、そのためにウォン安が進行する――という李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁の言葉を、裏付けています。
――というのを背景に、韓国の金融当局は「外国への投資を主因とするウォン売り・ドル買い」を阻止すべく、
・輸出企業はドルをウォンに換えろ
・国民年金公団は市場でドルを調達するな
(『韓国銀行』と締結した為替スワップを使え)
・国民年金公団は外貨資産をウォンに換えろ
――など必死の防戦策を繰り出しているわけです。
大笑いな現状をご紹介しました。
(吉田ハンチング@dcp)







