先に少しだけご紹介した在韓米軍絡みの話です。在韓米軍を巡ってアメリカ合衆国と韓国の亀裂が大きくなっています。
韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんは、親北・親中・反米・反日の人物で、与党に成りおおせた『共に民主党』も同じ性向です。
在韓米軍を撤収させたいというのが本音であって、また「在韓米軍は北朝鮮から南朝鮮を守るためだけに存在する」と主張し、中国には「中国封じ込めのためではありません」とアピールしています。
この時点で合衆国が望む「韓国は自由主義陣営国の一員として対中国包囲網に参加すべし」とは相容れません。
2026年01月23日(金)に合衆国の国防総省が公表した「National Defense Strategy 2026」(2026年版 国家防衛戦略)によれば、合衆国が注力する防衛線はFIC(First Island Chainの略:第一列島線)と書かれており、韓国はその外です。
先にご紹介したとおり「第2のアチソンライン」と考えられますが、在韓米軍は「韓国に存在する基地はわれわれにとって有利なものだ」としています。

↑在韓米軍司令官のジェイビアー・T・ブランソン大将が2025年11月16日に公表した逆さ地図。
韓国内にある基地には意味がありますが、通常戦力による有事にあっては「自分でやれ」というのが合衆国の態度になったのです。
「在韓米軍を撤退させたい」という点においては、トランプ大統領と李在明(イ・ジェミョン)さんの意見は一致しているのです。
2026年03月09日に毎年恒例の共同演習「自由の楯」(Freedom Shield:略称「FS」)の実施についても、合衆国と韓国で一悶着が起こっています。
「自由の楯」は、定例の大規模な共同軍事演習です。単なる訓練ではなく、朝鮮半島有事を前提とした実戦的な戦争シミュレーション+実動演習という性格を持っています。
親北・親中である左派・進歩系政権はもちろんこれを縮小(あるいは廃止)したいのですが、在韓米軍はもちろんそんなことはさせません。
2026年02月25日、韓国の国防部は、
「連合防衛態勢確立のためFS演習を来月09~19日に実施することにした」
――と明らかにしました。
しかし、ここまで演習の内容や規模などについてすったもんだを続けた上に、中身について米韓で意見の相違が見られました。

↑2026年02月25日に行われた米韓共同の記者ブリーフィング。
チャン・ドヨン合同参謀本部広報室長は、
「演習期間の野外機動訓練(FTX)は米韓が緊密に協議中」と明らかにしたのですが、その中身については一言も触れませんでした。要するに03月09日に行われる演習なのに02月25日時点でまだ揉めていたわけです。
ライアン・ドナルド駐韓米軍司令部広報室長は「03月にFSとウォリアーシールド訓練は明らかに大規模な防御的性格を帯びた演習として進行される」としました。
FS演習期間の野外機動訓練の回数も公開されなかった。米韓共同の記者ブリーフィングを行った時点で野外機動訓練計画が確定・公開されなかったのは極めて異例なことです。
この米韓の意見の相違は、先にご紹介した「在韓米軍は謝罪なんかしねーよ」に関連しています。明らかにす米韓関係に隙間風が吹いているのです。
さて「まさかFS(フリーダムシールド)を中止するのではあるまいな」だったのですが、実施されるものの……という結果になりました。
韓国メディア『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引用します。
米韓が03月09日から始まる自由の盾(フリーダムシールド・FS)演習期間に、実際の軍兵力が動く野外機動訓練(FTX)を22回実施することにした。
昨年と比較すると半分以下に減少したもので、北朝鮮を刺激しないようにしたい政府の基調が反映されたとの見方だ。
(中略)
合同参謀本部の関係者は27日、記者団に会い「FS演習期間中の野外機動訓練は正常に実施し、22件を進める予定だ」と述べた。在韓米軍関係者も「韓米間の緊密な協調により協議が行われた」と語った。
今回実施する野外機動訓練22件は、旅団級以上6件、大隊級10件、中隊級6件だという。
昨年03月のFS期間には計51件の野外機動訓練が実施された。旅団級以上の大規模野外機動訓練の場合、昨年の13件から今年は6件に減少した。
対北対話の雰囲気醸成を望む韓国政府は、野外機動訓練を年間に分散して実施する立場であると伝えられている。
これにより韓国側はFS期間中の野外機動訓練をさらに縮小することを提案したが、すでに兵力・装備の移動を開始していた合衆国側が難色を示し、協議がやや遅れたと伝えられている。
その結果が「野外機動訓練22回実施」というものだ。
(後略)
北朝鮮と協議を行いたい李在明(イ・ジェミョン)さん政権にとっては、FSが大規模に行われたら困るので、合衆国側に縮小を提案したのですが、合衆国は拒否。(折衷案ではないにしろ)2025年より規模を縮小して行うことになりました。
同記事の結びの部分が面白いのです。以下に引用します。
(前略)
一方、在韓米軍関係者は同日、ジェイビア・ブランソン在韓米軍司令官が24日に西海の空中訓練と関連して韓国国防部を批判したのが合衆国戦争省(国防総省)の指示によるものだとする本紙報道について「全く事実ではない」と述べた。国防部関係者は「米韓間の同盟懸案については随時、緊密に協議している」と述べた。
Money1でもご紹介したとおり、合衆国軍機と中国軍機が黄海上空で対峙したことについて、
韓国は合衆国側に抗議を行い、合衆国が謝罪した
――と韓国メディアに記事が出ていたのですが、ブランソン在韓米軍司令官が「謝罪なんかしねーよ」と異例の表明を出しました。
謝罪したのかしなかったのかが問題になりましたが、韓国側は「そのような主旨の発言があったと承知している」と誤魔化して逃げました。
本件について『朝鮮日報』は、ブランソン司令官の否定は独断ではなく、実は国防総省からの指示だった――と報じたのですが、「それ(国防総省からの指示であったこと)は間違いだ」とする関係者の意見を引いています。
真相は藪の中――みたいになりました。
いずれにしても、朝鮮半島有事の際の米韓連合軍の作戦計画とシナリオなどをシミュレーションで熟達する指揮所演習(CPX)、また野外機動訓練(FTX)であるウォリアーシールド(WS)は、約1万8,000人の兵力が参加し、03月09日から19日まで実施されます。
(吉田ハンチング@dcp)





